加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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論文試験において法律知識以外のことが評価される場面

お世話になっております。
司法試験本試験において、講師の方がよく、知識以外の法律的思考や書き方で評価(点数)を得るといった内容の発言をされていますが、また、加藤先生も同様の趣旨で発言をされていたと思いますが、
具体的になにがどのように評価されて点数として反映されるのか、そのイメージが湧かず、質問させて頂けたらと存じます。
現在、加藤先生のゼミの添削なしコースで学習をさせて頂いておりますが、過去問解説を聞いた後も、「ああこれは知らなかったな」「これは覚えてなかったな」という感想が多く、結局自分が得点を得るためには規範や定義の暗記を進めるしかないのか?と考え始めています。そうすると、知識はあるが合格できない受験生がなぜ存在するのかが気になります。
ミニ総まくり講義で学習した書き方を答案に反映させて書いているつもりなので、改善点もよく分からず、知識以外のポイントについてセルフチェックが難しいです。
知識以外で、評価に繋がるのは具体的にどういった点なのでしょうか?そしてそれはなぜ得点として反映されるのでしょうか?
また、人数制限で加藤先生の添削は受講できませんでしたので、知識以外の所で評価を得られるために、先生の添削に代わるものや勉強方法はございますでしょうか?

現行司法試験では、法律知識だけでなく、読解力・思考力・文章力という基礎学力も重視されており、これらも採点に反映するために、敢えて現場思考論点を出題したり、既存論点を捻った出題をしてきます。なので、読解力・思考力・文章力が反映されている部分も評価されます。

例えば、令和2年司法試験設問3では、①「日常の家事」に関する法律行為への該当性及び②110条の趣旨の類推適用を論じた後に(いずれも、否定)、③無権代理行為に関与したGが本人を単独相続した場合に無権代理行為を追認拒絶できなくなることについて、無権代理人が本人を単独相続した場合における追認拒絶を否定した判例理論の射程を踏まえて論じることが求められています。③については、問題文で敢えて、本人の死亡と共同相続人の相続放棄により無権代理行為に関与したGが本人を単独相続したことになったという事案になっていることから、出題者としてはこの事実関係に着目して追認拒絶を否定する方向で答案を書いて欲しいのだなということに気が付き(読解)、上記の判例理論の射程を論じることを選択し(思考)、出題者が求めている当てはめと結論を導くことができる抽象論を文章表現する(文章力)ことが重視されています。

法律知識以外のことで評価対象とされていることは、読解力・思考力・文章力という基礎学力です。さほど高度なものが要求されているわけではありませんから、これらを答案に示す”姿勢”があれば、ちゃんと採点で積極的に評価される論述をすることができます。自己添削では、理論面や当てはめにおいて、読解力・思考力・文章力を答案に反映できているかも確認してみるといいと思います。

2021年02月19日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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