加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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要件裁量・効果裁量・時の裁量を論じるべきかの判断方法

お世話になっております。
加藤先生の秒速・総まくりと秒速・過去問講座を受講しています。
行政裁量を検討する際に、最初に検討するであろう行政裁量の選択の基準(要件裁量・効果裁量・時の裁量)についてご教示いただきたいです。
どのような場合に要件裁量、効果裁量又は時の裁量を検討するのかについて、選択の視点をご教示いただけますと幸いです。
宜しくお願い致します。

例えば、平成29年司法試験設問1(2)の採点実感では、道路法43条2号違反を理由とする同法71条1項に基づく監督処分の違法性が問われた事案に関して、要件裁量と効果裁量の双方が問題となるという解答筋を前提として、「効果裁量については,道路法第43条第2号違反該当性と同法第71条第1項の監督処分との関係の理解が不十分と思われる答案が一定数見られた。前者が認定されて初めて後者に関する効果裁量が問題になることを理解した上での論述が望まれる。」と指摘されています。したがって、少なくとも、効果裁量が問題となるのは、要件充足性をクリアした場合です。要件充足性をクリアしたといえるためには、法令上の処分要件の該当性が認められる場合であり、法令上の処分要件の該当性が認められるのは、㋐処分要件について解釈や裁量を介することなく該当性が認められるとき、㋑処分要件について条文解釈により規範定立をした上で当てはめによりその該当性が認めらるとき、又は㋒処分要件について要件裁量を認めた上で裁量権の逸脱濫用が認められるときのいずれかです。

要件裁量が問題となるのは、要件該当性から検討することが求められている場合のうち、行政裁量で書くべきことが問題文のヒントから伺われるときです。条文解釈構成と行政裁量構成の棲み分けについては、総まくりテキストや過去問攻略講座の総論をご確認ください。

効果レベルの問題として効果裁量まで書くことが求められているのは、主として、不利益処分の場合かと思います。これも、秒速・総まくりや秒速・過去問攻略講座(平成29年の解説)でお伝えしていることですが、不利益処分では、「できる」という文言が用いられていることが多く、それは、反対利益にも配慮する必要性があるからです。

時の裁量について検討することが求められているのは、品川マンション事件のように、処分要件は満たしているものの、何らかの理由から処分庁が敢えて許認可処分や不利益処分を留保している場合です。

2021年02月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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