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薬事法判決が、規制手段と規制目的の間における因果関係について、観念上の想定にとどまるとして立法事実による支持を否定した理由

いつもお世話になっております。秒速総まくり2021を受講している者です。
憲法の薬事法判決について質問がございます。
総まくりでは、薬事法判決における適正配置規制について、究極的な規制目的は不良医薬品の供給による国民の健康安全の保護にあり、これと手段である適正配置規制との間の因果関係については立法事実による支持を欠き、観念上の想定にとどまるため、手段審査では上記の因果関係が存在しないことを前提として判断することになるから、手段適合性を欠くことになると説明されています。
薬事法判決では、中間審査基準に属する厳格な合理性の基準が採用されているため、上記の因果関係については、相当の蓋然性すらないとの理由から、立法事実による支持が否定されているのだと思います。それでは、仮に、相当の蓋然性が認められるような事情(ex.客観的な事実として不良医薬品を提供する薬局が相当程度あることを行政側が把握している。何らかの学問上、適正配置規制がないことにより不良医薬品の供給がもたらされることが認められている。)が問題文中に存在すれば、相当な蓋然性を認めることができるのでしょうか。それとも、薬事法判決では、手段と目的の関係が遠すぎることを理由として、手段と目的との間における因果関係が観念上の想定にとどまると認定されているのでしょうか。
宜しくお願い致します。

薬事法判決は、適正配置規制について、①適正配置規制の不存在⇒②薬局の偏在⇒③薬局の競争激化⇒④一部の薬局の経営不安定化⇒⑤経営が不安定化した薬局による不良医薬品の供給という因果関係のうち、①⇒②⇒③⇒④については立法事実による支持を肯定し、④⇒⑤についてのみ立法事実による支持を否定しています。

規制手段から規制目的に至るまでの因果関係が長い場合(因果関係を基礎づけている因果経過が多い場合)、その分だけ、立法事実による支持を要する因果経過が多くなりますから、立法事実による支持が否定される確率が高くなります。適正配置規制では、①⇒②、②⇒③、③⇒④、④⇒⑤という4つの因果経過について立法事実による支持が必要とされ、そのうちどれか1つでも立法事実による支持を欠くと、①⇒②⇒③⇒④⇒⑤という因果関係が否定されることになります。

もっとも、薬事法判決は、規制手段から規制目的に至るまで複数の因果関係が存在していること自体を理由として、両者の関係について観念上の想定にとどまるを述べているのではなく、④⇒⑤の因果経過について立法事実による支持がないとの理由から当該因果経過については観念上の想定にとどまると述べているにすぎません。

したがって、④⇒⑤の因果経過について相当の蓋然性があるといえる事情があるのであれば、④⇒⑤の因果経過にも立法事実による支持があるといえ、ひいては①⇒②⇒③⇒④⇒⑤という因果関係が肯定されることになります。

2021年02月03日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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