加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

偽計自白の任意性の論じ方

自白の証拠能力の判断において,私は任意性説をとっているのですが,偽計による自白の論証において、任意性説から説得的に論じられているか不安です。
「確かに、捜査官が偽計により自白を獲得したこと自体が、自白の証拠能力の否定に結びつくわけではない。しかしながら、偽計により被告人が犯罪行為をしたことを強く推認させる情報が提示されると、否認を継続する活力を奪い、自白をして早く身柄拘束等の苦痛から逃れたいという心理的強制がはたらくおそれがある。すなわち、偽計を用いた手法によって得られた自白は、被疑者の心理をいたずらに混乱させ、虚偽自白を誘発するおそれが類型的に高いため、「任意にされたものでない疑のある自白」に当たる」。
こんな感じで考えているのですが,説得的でしょうか。

合格水準の論述であると思います。「しかしながら…」以降が、偽計自白の任意性を否定した最高裁大法廷判決昭和45・11・25を参考にしたものであることも伝わってきます。

もっとも、「確かに、捜査官が偽計により自白を獲得したこと自体が、自白の証拠能力の否定に結びつくわけではない。」という部分は、理由が全く伝わらないので、削除しても構わないと思います。任意性説の規範に対応した当てはめになっていないと思います。

2021年01月21日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ