加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

建物退去部分について生じる既判力に準ずる効力が後訴に作用する理由

平成21年司法試験民事訴訟法設問2(2)について質問です。
加藤先生の模範答案では、「既判力に準ずる効力が生じている建物退去という執行方法が第2訴訟の前提問題とされているから、先決関係を根拠として、第1訴訟の確定判決の既判力に準ずる効力が第2訴訟に作用する。」とされています。
この「第2訴訟の前提問題とされている」という部分ですが、どのように理解すればよろしいでしょうか?第2訴訟で執行方法は建物退去であると主張することが、第2訴訟の請求原因による法律効果の一部(建物収去部分)を排斥する効果をもたらすという意味で抗弁に位置づけられるという意味でしょうか?
宜しくお願い致します。

XのYに対する土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求(第1訴訟)⇒建物退去明渡しを命ずる判決が確定⇒XのYに対する土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求(第2訴訟)という事案では、第2訴訟において、Xは強制執行の方法として建物収去を求めるための主張立証をし、Yは強制執行の方法を建物退去にとどめるための主張立証をすることになるという意味で、既判力に準ずる効力が生じている建物退去という強制執行の方法が第2訴訟で前提問題とされることになります。強制執行の方法についてXとYの主張立証が展開されるという意味で、前提問題であると理解しているので、請求原因か抗弁かという捉え方をする必要はないと思います。

それから、強制執行の方法を建物収去とする第2訴訟は、既判力に準ずる効力が生じている建物退去という強制執行の方法と矛盾とするとして、矛盾関係を肯定することもできると考えられます。

2021年01月10日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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