加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

公共施設管理者の不同意

いつもお世話になっております。秒速総まくり2021の行政法について質問があります。
テキスト125頁以下では、許認可申請行為の前に置かれた同意の処分生が問題になった最判平成7年3月23日(百Ⅱ156)の事案について、①処分性を否定する本判決を紹介して「不同意それ自体には開発行為を禁止又は制限するという法的効果はない」として実体上の地位に対する影響を否定する一方で、②憲法29条も参照して「開発許可申請を適法に行う地位が」を観念した上でかかる手続上の地位に対する影響があるとして処分性を肯定しています。
ここでいう適法に許可申請をする手続的権利は、いわゆる申請権(行手法2条3号)とは何が異なるのでしょうか?端的に申請権が侵害されたとして処分性を認めることはできないのかが気になったので質問させていただきました。宜しくお願い致します。

公共施設管理者の不同意について、開発許可の申請権に対する侵害を認めることはできないと考えます。

申請権侵害とは、形式的にも申請をすることができないようにした場合や申請に対して何ら応答をしなかった(不受理)という場合などで問題になるものだと思います。

公共施設管理者の不同意があっても、少なくとも形式的には開発許可の申請をすることができますし(申請の要件を満たさないだけ)、申請を受けた行政として申請を放置することなく不許可処分の対応をすることになりますから、開発許可の申請権に対する侵害は認められません。

2020年12月21日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ