加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

令和2年予備試験行政法設問1 

お世話になっております。先生の令和2年予備試験論文式試験の解説動画を視聴した上で質問がございます。
加藤先生は解説の中でも答案の中でも、関税定率法21条3項に基づく輸入禁制品該当通知の処分性が問題になった最判昭和59年12月12日(百選「第7版]159)については言及なされていなかったと思うのですが、各予備校の解説を見ていると2社はこの判例を参考にして論じるようにと書いていました。加藤先生が今年の問題をこの判例の射程の問題として論じなかったのは何故でしょうか。
ご回答いただけますと幸いです。宜しくお願い致します。

最高裁昭和59年判決は、関税定率法21条3項に基づく輸入禁制品該当通知について、輸入禁制品該当通知がなされるとその後改めて輸入不許可処分がなされることはないという確立した実務の取扱いの存在を根拠として、輸入禁制品該当通知は「輸入申告に対する行政庁側の最終的な拒否の態度を表明するもの」であり「実質的な拒否処分(不許可処分)として機能している)」と理解することにより、同通知により輸入許可がなければ貨物を適法に輸入することができないという法律の規定による一般的・抽象的な作用が直接具体的な法律効果に転化変質することを認め、処分性を肯定しています。

令和2年予備試験行政法設問1では、本件通知がなされた場合にはその後改めて開発不許可処分がされることはないという取扱いの存在が全く窺われないこと、後続行為として工事中止命令という不利益処分が予定されているため「前倒し的な法的効果の読み込みによる直接具体的な法的効果の肯定の可否⇒権利救済の必要性から例外的に処分を肯定することの可否」という平成20年司法試験設問1・平成30年予備試験設問1の問題意識に従って書くことが予定されていると思われることから、「実質的な拒否処分(不許可処分)」であるとして処分性を肯定することの可否については検討しておりません。

2020年11月24日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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