加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

問題文から解答筋まで知っている過去問を使った演習をする際の留意点

いつもお世話になっております。過去問演習の方法についてアドバイスを頂ければと思います。
加藤先生にご指定頂いた35問の演習を積んでいる最中なのです。問題文の内容や解答筋まで覚えてしまっていっているのですが、これは不味いでしょうか。
例えば、令和1年憲法では、虚偽表現の自由が憲21条1項で保障されるかという論点について、初見であれば、「虚偽表現の自由の保障を論じれる自信がないから、その他の自由ないし権利として構成できないか」、「虚偽表現の自由を保障するとして、どのような理由で保障が及ぶと論証するか」といった悩みが生じるものだと思いますが、予め解答筋を知っているため、そのような悩みをショートカットしてしまっているという"実際の現場における実力"を超えた状態での演習になってしまっていることが気になっています。

2周目以降は、問題文や何をどう論じるのかについて頭に入っている状態になるのはやむを得ないことですし、むしろ、それが理想的です。2周目以降であるにもかかわらず、問題文や何をどう論じるのかについて頭に入っていないのであれば、1周目で何も学んでいない等しいからです。過去問をやる意味の1つとして、再度の出題可能性に備えることが挙げられますから、同種事案が出題された場合に高水準の答案を書くことができるように、問題文や何をどう論じるのかについて頭に入れておく必要があります。

その一方で、過去問をやる意味として、現場での判断力を磨くということも挙げられます。2周目以降は、問題文や何をどう論じるのかについてある程度頭に入っている状態で問題を解くことになりますが、それでも、ちゃんと問題文に立ち返り、「問題文にこう書いてあるから、この論点が問題になる」、「問題にこう書いてあるから、この論点について、これくらいの分量で、こういった内容で論じる」といった判断を経るようにすることで、現場での判断力を磨くことができます。答案作成後の復習でも、何についてどう書いたのかという表面的なことだけでなく、「問題文のどこにどう着目してこのように書いたのか」という答案作成に至る思考過程を確認しましょう。

2020年11月17日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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