加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

司法試験過去問(論文)を初めて解き、ぼろぼろの出来だった場合

ロースクール2年生の者です。初めて司法試験過去問(論文)を解いてみたのですが、予想通りぼろぼろでした。 これから過去問を復習しようと考えているのですが、効果的な復習の方法はありますでしょうか。また、あまり良くない復習の方法も教えて頂いたら幸いです。

司法試験過去問(論文)は事実関係が複雑である上、典型論点を捻って出題したり、現場思考問題を正面から出題したりなど、難易度が高いので、上位合格者を含む合格者のほぼ全員が、初めはぼろぼろの答案を書くことになります。司法試験過去問と正しく向き合い、正しい方法で演習・復習を繰り返していけば、徐々に司法試験過去問に対応できるようになり、納得のいく答案を書くことができるようになります。めげずに頑張りましょう。

まず、自分が手書きした答案と出題趣旨・採点実感を比較してみましょう。ここで、自分の現状と司法試験委員会の要求(※「司法試験委員会の要求=合格水準」ではありません)の距離を確認します。

次に、市販の再現答案集や合格者のブログの再現答案を参考にして、現実的な合格水準(さらには、上位答案の水準)を把握しましょう。合格水準については、出題趣旨・採点実感から把握すること極めて困難であり、これらを参考にするとかえって現実離れした合格答案像をイメージしてしまう危険があります。そのため、合格水準については、市販の再現答案集や合格者のブログの再現答案を参考にして把握したほうが良いと思います。

上記の2つの過程を経て、自分と目標の距離をなんとなくイメージすることができると思います。今後の勉強で、その距離を徐々に埋めていく必要がありますから、距離が生じている原因を分析します。距離が生じている原因としては、①司法試験全体の特徴(思考・読解のコツ、文章力、応用力が重視されているなど)を知らない又はそれに対応できていない、②科目・分野ごとの出題傾向(出題の範囲、深さ、角度等)を知らない又はそれに対応できていない、③知識の量・正確性が足りない、④事務処理が追い付いていないなど、様々なものが考えられます。①~④をしっかりと分析した上で、自分と目標との間に距離が生じている原因をざっくりと把握します。

その後、全科目に共通する「距離の原因」と、科目・分野ごとの「距離の原因」を踏まえて、全科目に共通するものと、特定の科目・分野に共通するものを区別して、距離を埋めるためにどういった勉強をすればいいのか考えます。勉強計画は、推計している過程で徐々に修正することになるものですから、ざっくりとした勉強の方向性を把握すれば足ります。初めの段階で「距離の原因」を正確に把握することは困難であり、これから過去問分析と距離を埋めるための勉強(インプット・アウトプット)をしている過程で新たな「距離の原因」に気が付くこともありますから、勉強計画を修正する可能性を想定しておきましょう。過去問分析と距離を埋めるための勉強をする過程で、適宜、勉強計画に修正を加えることになります。

以上が理想的な勉強法です。

良くない方法は、答案を書いて、再現答案や出題趣旨・採点実感と自分の答案を比較して、自分と目標との間の距離を確認するだけで終わるというものです。これだと、2周目以降の過去問演習を1周目と大差ない水準で繰り返すことになりますから、学習効果が上がりません。2周目以降を1周目と同じ水準でやらない、つまり、2周目には合格答案(50点以上)、3周目では上位答案(60点以上)、4周目には超上位答案(70点以上)を書けるようになる必要があります。そのためには、1周目の段階で、しっかりと「距離が生じている原因」を分析した上で、「距離を埋めるための効果的な勉強」を考え、その勉強を日々実行していく必要があります。

2020年09月30日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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