加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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平成24年司法試験設問1 法人の管理権ではなく、代表者の管理権と表現しても構わないか

平成24年司法試験設問1の出題趣旨・採点実感では、甲個人に対する覚せい剤営利目的所持を被疑事実、捜索すべき場所を甲が社長を務める「T株式会社」とする捜索差押許可状に基づき、T社内の捜索を開始し、T社内で、捜索開始後にT社内に搬入された乙宛ての荷物及び従業員用ロッカーを捜索したという事案において、乙宛ての荷物や従業員用ロッカー「T株式会社の管理権」が及ぶかどうかを問題にしています。ここで、T社の管理権ではなく、T社の社長甲の管理権と表現してもいいのでしょうか。

例えば、T社事務所を捜索場所とする捜索令状であれば、T社事務所内の物がT社事務所という「場所」に包摂されるというためには、当該物にT社事務所に帰属するT社の管理権が及んでいる必要があります。もっとも、T社の管理権を現実に行使している(担っている)のは社長甲ですから、「当該物にT社事務所に帰属するT社の管理権が及んでいるか」の判断では、代表者甲がT社の社長として当該物を管理している(管理権を及ぼしている)のかを問題とすることになります。

なお、社長甲には、①甲個人という地位と、②T社社長という地位の2つがありますから、厳密には、甲が管理していることをもってT社の管理権が及んでいると認定するには、甲がT社の社長として当該物を管理している(管理権を及ぼしている)ことまで指摘する必要があります。

2020年09月14日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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