加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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過失犯の検討過程で信頼の原則が問題となる事例

過失犯の検討過程で信頼の原則を論じる必要があるのは、どういった事例でしょうか。

信頼の原則において問題となる信頼は、他人が適切な行動に出ること(他人が不適切な行動にでないこと)に対する信頼です。典型的なのが、行為者の不注意と他人の法令違反行為(例えば、被害者の交通法規違反など)とが相まって結果発生をもたらした場合です(最二小判昭和42・10・13・百Ⅰ54)。また、医療事故事案であれば、医療従事者の不注意と他の医療従事者による院内ルール(患者の同一性の重複確認など)への違反とが相まって結果発生をもたらした場合にも信頼の原則が問題となります(最二小決平成19・3・26・「平成19年度重要判例解説」事件2)。

だいぶざっくりとした判断基準ではありますが、行為者の不注意と相まって結果発生をもたらした他人の行動が法令や内部ルールに反する不適切な行動である場合に、信頼の原則が問題になる、というイメージです。

2020年09月13日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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