加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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処分の根拠規定の委任に基づく政省令・委任条例は「処分の根拠となる法令の規定」と「関係法令」のいずれに該当するのか

秒速・総まくりでは、処分の根拠規定の委任に基づく条例(委任状例)は、処分の根拠規定そのものとなる、と学びました。ところが、辰已法律研究所の「論文過去問 答案パアフェクト ぶんせき本」では、道路の幅員等について建築基準法43条2項から委任を受けて定められたB県建築安全条例を「関係法令」に位置づけています。どちらの理解が正しいのでしょうか。

かつては、法律の委任に基づく政省令・委任条例について、「処分の根拠となる法令の規定」に位置づける見解のほかに、「処分の根拠となる法令‥‥と目的を共通にする関係法令」に位置づける見解も存在しました。しかし、平成23年司法試験・採点実感において、「検討に当たっては、まず、「処分の根拠となる法令の規定」として、モーターボート競争法第5条及びその委任を受けた同法施行規則第12条、第11条の規定を確認し・・」、「用語に関する基本的な誤解が目立つ。例えば、・・行政処分の根拠法令に属する省令の規定をも、行政事件訴訟法第9条2項にいう「関係法令」の一つに挙げる答案・・」というように、法律の委任に基づく政省令・委任条例について「処分の根拠となる法令の規定」に位置づける見解に従うべきことが明らかにされるに至りました。したがって、前者の見解が正しいです。よって、道路の幅員等について建築基準法43条2項から委任を受けて定められたB県建築安全条例については、「関係法令」ではなく、「処分の根拠となる法令の規定」に位置づけることになります。

2020年09月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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