1月21日に令和2年司法試験の出題趣旨が公表されました。
採点実感は未だ公表されていませんが、出題趣旨だけでも、十分、出題分析と自己分析をすることができますから、今後の勉強の方針を明らかにするために、なるべく早く出題趣旨を使った出題分析と自己分析に取り掛かりましょう。
出題趣旨を使った分析をする際には、以下の3つに重点を置きましょう。
1つ目は、解答筋のうち、核になっている部分を重点的におさえるということです。
細かいこと・難しいことは、再度出題される可能性が低い上、分析しても答案に反映することができない可能性が高いため、飛ばして構いません。
2つ目は、解答筋を外した場合、原因とその改善策までしっかり考えるということです。
例えば、問題文に分かりやすいヒントがあるのに、知っている条文・論点を落としたのであれば、何を・どう論じるべきかを問題文のヒントに従って判断するという読解のコツが身についていないわけですから、読解のコツを意識しながら司法試験過去問の演習をすることになります。
典型的な条文・論点を知らなかったのであれば、一元化教材の網羅性を確認し、仮に網羅性に問題がある場合には一元化教材に情報を補充する必要があります。一元化教材の網羅性に問題がなく、一元化教材に掲載されている条文・論点を知らなかったという場合には、一元化教材を何度も回すことでインプットを強化する必要があります。
典型的な条文・論点について、知ってはいたけれど記憶が曖昧であり、試験本番で脳内で引き出せなかったという場合にも、一元化教材を何度も回すことでインプットを強化する必要があります。条文・論点に関する記憶の水準を”定着”といえるところにまで高める必要があります。
3つ目は、科目・分野ごとの答案の書き方を分析するということです。
例えば、憲法では、職業規制における違憲審査基準の定立の仕方について具体的に言及されています。
民法では、抽象論を示すことが非常に重視されており、中には、条文にそのまま書いてあることまで抽象論として示すことが求められている箇所もあります。
刑法では、三者間形式の設問1では、小問の段階で、立場①と立場②の理論構成について「根拠(理由)とともに」論じることが求められており、ここは令和1年司法試験設問2と異なる点です(令和1年司法試験設問2では、小問段階で選択した学説の理由付けまで示すことは求められていませんでした。)。
「上記の結論を導く理由を事実ごとに簡潔に述べなさい」との指示がある設問2については、「理論構成の根拠や他説への批判を論じる必要はなく、要点を簡潔に示すのが肝要である」とされています。
犯罪の成否が問われている設問1及び設問3では、主観的構成要件も含めて構成要件要素を網羅的に検討することが求められています。
上記の1つ目から3つ目に共通することは、本問での固有性の高いことではなく、令和3年以降の司法試験にも共通し得る汎用性の高いことから優先的に分析するということです。
過去問分析は、次年度以降の司法試験の問題を解けるようになるためにやるものだからです。
出題趣旨を使った分析をする際の参考にして頂ければと思います。
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