答案の加点密度を高める方法/答案の得点効率を最大化する

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司法試験論文のうち、基本7科目では、書くべきことを2時間で答案に書き切ることができないという形で、時間の制限が顕在化することが多いです。

選択科目では、書くべきことを4枚以内で書き切ることができないという形で、紙面の制限が現在化することもあります。

また、現行司法試験・予備試験の論文試験では、採点方法として原則として加点方式が採用されていると思われるため、配点項目に言及した分だけ点数が伸びます。

そうすると、論文試験では、時間と紙面が限られている中で、どれだけ配点項目に言及することができるかが肝になってきます。

そして、時間と紙面が限られている中で出来るだけの多くの配点項目に言及するためには、解答筋を外さないことのほかに、答案の加点密度を高める技術が重要になってきます。

以下では、加点密度を高める方法について紹介させていただきます。

 

答案全体の出来で勝負する姿勢


方法としては、前半で書きすぎない、分からない問題で立ち止まらない等が挙げられます。

例えば、行政法で原告適格が前半で出題された場合など、前半で書きすぎてしまいがちです。しかし、後半で途中答案になるくらいなら、前半を中途半端な論述にしてでも最後まで書き切るべきです。

また、適用条文や論点が分からない場合、少し時間を使って考えても何を書くべきかが思いつかないのであれば、ダメもとで条文を選択したり、とりあえず「理由⇒規範⇒当てはめ」という形式で書く等により最低限の対応をして、先に進むべきです。分からない問題が答案全体の出来に悪影響を及ぼさないように工夫する必要があります。

 

配点項目に直接該当するであろうと判断したことを最優先する姿勢


問題文を読んで考えたことのうち答案に反映するものは、①配点項目に直接該当するであろうと判断したこと(条文操作、論証、当てはめ等)と、②採点者に予測可能性を与えるために必要とされる説明(問題提起をはじめとする前置き)の2点です。

採点者は問題文・解答筋を熟知している法律の玄人であり、似たような答案を複数採点しているのが通常ですから、問題提起をはじめとする前置きのうち、②採点者に予測可能性を与えるために必要とされるものはかなり限られます。

問題提起ついては、こちらの記事も参考になると思います。

また、③作成者側の思考整理のために必要なことは、①又は②に該当しない限り、答案に書いても点が付かないと思います。

 

文字の美しさを犠牲にする


文字は、採点者が一読して理解できるように書けば足ります。

「採点者が一読して理解できる」という水準を超えた文字の美しさは試験的には無駄ですから、分量増加のために上記水準を満たす限りで字を崩すべきともいえます。

平成30年司法試験・商法の採点実感では、「文字を判読することができず、文章を理解することができない答案が見られる。そのような文章については、趣旨が不明であるものと判断した上で、採点せざるを得ない。」とあります。

これまで受験生の手書き答案を見てきた私の経験からすると、実際に「趣旨が不明であるものと判断」されるのは、かなり稀です。

かなり読みにくい字で書いた答案でも、読んでもらえています。

しかも、「文字を判読することができ」ないために「趣旨が不明であるものと判断」された答案について積極的に減点されるわけではありませんし、ある「文字を判読することができ」ないことから直ちに「趣旨が不明であるものと判断」されるわけでもありません。

判読できない文字がある結果として当該「文章を理解することができない」という段階に達した場合に初めて、「趣旨が不明であるものと判断」され、「趣旨が不明である」範囲で配点項目を落とすことにより失点するというだけです。

※ 極端な癖字や略字は、改善するべきです。また、平仮名、条文番号、登場人物、語尾には気を付けましょう。漢字(特に、法律用語)なら解答筋から想定してだいたい理解できますが、平仮名・条文番号だとそれができないことが少なくないです。アルファベットの登場人物も、癖字だと判別できないことがあります。さらに、語尾で極端な癖字等があると、結論が逆に見えることもあります。

 

抽象論を長く書きすぎない


抽象論を示す必要がある場面では、抽象論を示してから、事実の摘示・評価による当てはめに入る必要があります。

メイン論点でこの過程を飛ばすと、大幅に失点する危険があります。

もっとも、現行司法試験では規範適用(当てはめ)が重視されていることからすると、原則として、抽象論を長く書くよりも、当てはめで多くの事実を摘示・評価したほうが点が高くなります。

したがって、抽象論、特に理由付けは簡潔に論じるにとどめ、当てはめに時間を使うべきです。

 

取捨選択では大きめの配点項目を優先する


メリハリ付けの一環として、配点項目を捨てざるを得ないこともあります。

その際、大きめの配点項目を拾うために、小さめの配点項目から捨てるようにしましょう。

平成29年司法試験までの大問形式の刑法であれば、配点項目は、大項目(罪名)、中項目(理論体系、要件、論点)、小項目(要件ごとの事実の摘示・評価)の3つに分類されると思います。

大項目を飛ばすと、大項目の配点を丸々失うことになりますから、出来るだけ小さめの配点項目を捨てて大項目を網羅する必要があります。

 

簡にして要を得た文章を書く


抽象論でも当てはめでも、点に繋がらない丁寧さ・冗長さはできるだけ無くすべきです。

抽象論であれば、文章力が高くなくても、事前にコンパクトな論証を記憶しておくことで、試験本番で簡にして要を得た論述をすることができます。

当てはめでは、答案練習を繰り返し、同語反復の排除や語彙力の強化等により文章力を向上させることで、試験本番で簡にして要を得た論述をすることができるようになります。

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コメント

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    三段落目の「問題提起ついては、こちらの記事も参考になると思います。」のリンク先が開けないようです。
    お忙しいとは存じますがご対応のほどよろしくお願いいたします。

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      先ほど、リンク先を貼り直させて頂きました。
      教えて頂きありがとうございます。

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
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・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
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