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不燃性部分に放火したため独立燃焼に至らなかった事案における不能犯の論じ方

不燃性部分に火をつけたところ、独立燃焼に至らず有毒ガスが発生した事例で、公共の危険が発生した場合も焼損に当たると解する見解と独立焼損が必要とする見解があります。後者の見解を採用した場合、不能犯が問題になりますよね。答案に書く際、客体→放火→焼損に当たらない。では現住建造物放火罪の未遂は成立しないか(不能犯)、と書くのは少しおかしいような気がします。何故なら、最初に「放火」を認定して焼損で切った以上、不能犯で放火に当たるかを検討しているからです。独立焼損説を採用した場合において、不能犯はどのような流れで書けばよいでしょうか。

放火の対象及び方法からして建造物の独立燃焼が発生し得なかったというケースなら、「焼損」について独立燃焼説に立った場合、既遂結果としての「焼損」の要件に入る前に、実行行為レベルのところで不能犯の議論が出てきます。

上記ケースでは、実行行為レベルのところで、独立燃焼説について論じたう上で、独立燃焼説からは不能犯が問題となる、と書くことになると思います。要するに、既遂要件に属する「焼損」概念に関するが論点が実行行為レベルのところまで繰り上がって問題となるわけです。

2022年03月18日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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