加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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令和3年予備試験刑法で帳簿の焼却について公用文書等毀棄罪が成立するか

令和3年予備試験解答速報(刑法)を加藤先生のyoutubeで聴講した上での質問があります。
私は、本件帳簿の廃棄について公用文書等毀棄罪が成立するかと考えてしまいました。この罪責の検討は点数がつく可能性はどれほどあるでしょうか?私は、脱税の証拠との問題文の記載から、本件帳簿は公務所たる税務署の税務調査で必要に供する文書と認定し犯罪成立と結論づけました。

まず、本件帳簿は、税務署により税務調査に基づき収集・保管されている文書ではありませんから、「公務所の用に供する文書」に当たらないと思います。警察が捜査のために保管している私文書は公用文書等毀棄罪の客体に当たる解されており、また収税官史が差し押さえた帳簿が本罪の客体に当たるとした判例もありますが(高橋則夫「刑法各論」第3版445頁)、警察や税務署により収集・保管されていないどころか収集・保管の対象として特定すらされていない文書は、本罪の客体に当たらないと思います。仮に当たるとなると、例えば、犯罪捜査で差押対象となる予定である文書がことごとく本罪の客体になってしまいます。

次に、仮に本件帳簿が本罪の客体に当たるとしても、公用文書等毀棄罪については配点がないか、配点があっても本当に微々たるものだと思います。公用文書等毀棄罪についてそれなりの配点があるのであれば、問題文でもっと分かりやすく誘導がされているはずです。

参考にして頂けますと幸いでございます。

2021年09月23日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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