加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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「浪人生こそ10月から予備校答練を受講するべきだ」という助言の適否について

今年の司法試験を受験した者です。
論文の手ごたえが極めて悪いため、気持ちを切り替えて、来年の試験に向けた勉強計画を立てているところです。
今年の受験までは、先生の総まくり講座と過去問講座に大変お世話になりました。きちんと習得できていれば、今年の試験に十分対応できたはずなのですが、振り返ると自分自身の勉強の効率が悪く、消化不良に終わってしまっていたと大いに反省しています。そのため、来年に向けては、過去問講座のテキストを使って、もう一度過去問の分析と答案練習を徹底したいと考えています(過去問の答案添削を受けることも考えています)。そして、私は諸事情で可処分時間が多くないことを考えると、過去問の答案練習に加えて、予備校の答練を受ける余裕はなく、受けない又は余裕ができた場合に1月から受けることにしようかと考えています。
しかし、twitter上などでは、「特に浪人生は10月から答練を受けるべき」という声も見られるため、やはり答練は必須なのだろうかと迷いが生じています。
各受験生の弱点・敗因によってアドバイスが変わってくることは承知していますが、「特に浪人生には答練は必須」という意見について、どのようにお考えになりますか。先生のご意見をお聞かせいただけると幸いです。

私は、「浪人生には答練は必須」とは考えらず、そのような助言は個別事情を無視した不適切なものであるとも考えています。

例えば、インプットが足りていない、司法試験過去問の分析が不十分であるというのであれば、予備校答練を繰り返しても弱点の改善になりません。テキストの読み込みによりしっかりと知識を身につけたり、司法試験過去問の演習・分析を通じて頭の使い方・答案の書き方・本試験レベルの深い出題に耐えうる深い理解などを身に付けるべきです。

こうしたことができていない状態で予備校答練を何度繰り返しても、不合格水準の答案の作成を繰り返すだけですから、意味がないです。予備校答練の大きな役割は、ペースメイキングと過去問分析により身に付けた頭の使い方・答案の書き方・深い知識を初見問題でも使えるように訓練することの2点です。

たまに、複数回受験で合格した方で、合格時における勉強方法があたかも絶対的に正しいかのように紹介する人がいますが、大きな誤りです。本当に正しいのであれば、1桁~2桁で合格しているはずですが、実際にはそうではないわけです。

複数回受験で合格した方が、浪人中に答案練習の回数を増やしたから合格したからといって、たいした説得力はありません。例えば、2000番⇒1000番という順位の変化であれば、たまたま問題との相性や当日のコンディションがよくで順位が上がったということも十分あり得ます(それくらい、2000番~1000番の境界は曖昧です)。仮に本人の合格にとって答案練習が大きく寄与していたとしても、それは答案練習が本人の弱点との関係で必要性の高いものだったというだけで、万人に共通することでは決してありません。

総まくり講座と司法試験過去問講座が消化不良になっているのであれば、まずは総まくり講座と司法試験過去問講座の復習に時間を使うべきです。その上で、翌年1月から、総まくり講座と司法試験過去問講座で学んだことを初見問題でも使えるように訓練するために、予備校答練を受講するのが望ましいです。

参考にして頂けますと幸いです。

2021年06月24日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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