加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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逮捕に伴う無令状捜索差押えに関する他説について、どこまでおさえておくべきか

いつもブログを拝読しています。刑事訴訟法について質問です。
刑事訴訟法における「逮捕に伴う無令状捜索差押え」の論点で、他説(緊急処分説)の結論部分もおさえておく必要はあるのでしょうか。仮に自説と他説を比較させる問題が出題されても、制度趣旨から考えて書けば何とかなると思うのですが、如何でしょうか。司法試験レベルの話としてお聞きしたいです。

逮捕に伴う無令状捜索差押えの実質的根拠に関する学説対立の本質は、無令状捜索差押えの許容範囲を画する際に①「証拠存在の蓋然性の一般的な高さ」に加えて②「証拠保全の緊急の必要性」まで要求するべきかという点です。 ①で足りるとするのが相当説(合理説)、①に加えて②も必要とするのが緊急処分説です。

無令状捜索差押えが許容されるのは、相当説からは①が妥当する範囲、緊急処分説からは①②の双方が妥当する範囲となります。 このように、緊急処分説からは、相当説に比べて、無令状捜索差押えの許容範囲が狭くなります。①を欠くが②が妥当するため無令状捜索差押え可能、という解釈にはなりません。

というように、少なくとも両説の基本的な対立軸くらいはおさえておく必要があります。

その上で、要件(論点)ごとにおける緊急処分説からの帰結(解釈の結論)についても、事前におさえておいた方が無難です。制度趣旨の違いから、要件(論点)ごとにおける緊急処分説からの帰結(解釈の結論)について正しく導くことができる保証はありませんので。

2021年05月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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