加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

平成29年司法試験憲法で収容に関する適用違憲を論じない理由

平素は大変お世話になっております。
平成29年司法試験(憲法)についてご質問がございます。
当該年度の問題では、「法令違憲」のみならず、「適用違憲」についても論じる必要性があると考えました。ですが、出題趣旨・採点実感には法令違憲のみを論じれば足りると記載されております。
なぜ、適用違憲を論じる必要性があると考えたといいますと、問題文に女性Bが法に基づき強制出国されている等という司法事実が記載されていること、問題文に、「Bの収用」及び強制出国の根拠となった特労法の規定が憲法違反であるとして…と記載があり、適用違憲と法令違憲の両方を論じるよう誘導がなされているように思えたからです。
宜しくお願いいたします。

まず、「甲は、Bの委任を受けて、Bの収容及び強制出国の根拠となった特労法の規定が憲法違反であるとして、国家賠償請求訴訟を提起しようと考えた。」という文章における「根拠となった特労法の規定」は、「Bの収容」にもかかっています。

次に、仮に出題者が適用違憲まで書かせたいのであれば、そのことをもっと分かりやすく示すために、上記の問題文を「甲は、Bの委任を受けて、Bの収容自体と、強制出国の根拠となった特労法の規定が憲法違反であるとして、国家賠償請求訴訟を提起しようと考えた。」といった表現にしているはずです。

そして、「ただ、滞在中に妊娠することを禁じられていると知っていたので、望んで妊娠したわけではない。この先日本に定住するつもりはなく、日本である程度お金を稼いだらA国に戻りたいとの気持ちは変わらないが、Cを愛しているので今は出産したい。」旨申し立てた。」というBに関する事情は、「本邦滞在中の妊娠・出産には、本邦への長期定住に繋がらないものもある」というように一般化した上で、立法事実として法令違憲審査で使うべき事情として書かれているものです。

2021年05月03日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ