加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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全体的考察による過剰防衛の一体性の書き方

いつもお世話になっております。
秒速・総まくり2021刑法78頁の[論点2]過剰防衛の一体性についての質問です。
答案の書き方としては、[論点2]を行為の一体性の論点として客観的構成要件の段階で先出しし、行為が全体として1つなのかどうかを確定してから、全体として1つの行為又は分断された2つの行為として構成要件該当性→違法性(正当防衛)→責任(過剰防衛)という流れで検討するべきでしょうか?
それとも、第1行為が正当防衛の成立要件を満たすことまでを認定した上で、第2行為の検討の入り、構成要件該当性→正当防衛不成立→過剰防衛の成否という流れで論じ、この過剰防衛の成否のところで[論点2]を展開するべきでしょうか。

確かに、全体的考察により一個の過剰防衛の成立余地を認める判例・通説については、「違法阻却段階での全体的考察は、構成要件段階におけるそれの反映ということになる」(平成21年重要判例解説刑法2解説2)との理解もありますから、この理解を前提にするならば、過剰防衛の一体性に関する[論点2]は第1行為と第2行為の双方を対象とした客観的構成要件該当性の最初の段階で先出しして論じ、その結果が責任段階における過剰防衛の成否と連動することになる、と考えることになります。

しかし、試験対策としては、上記の書き方は避けるべきです。[論点2]が出題された平成23年司法試験の出題趣旨・採点実感でも、上記のような書き方は求められていません。

試験対策としては、①第1行為の構成要件該当性→第2行為の構成要件該当性→第1行為の正当防衛の成立要件充足→第2行為の正当防衛の成立要件不充足(「急迫」性なし)→[論点2]、又は②第1行為の構成要件該当性→第1行為の正当防衛の成立要件充足→第2行為の構成要件該当性→第2行為の正当防衛の成立要件不充足(「急迫」性なし)→[論点2]という、いずれかの流れで論じるべきです。

2021年03月30日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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