加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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財産権侵害における違憲審査の在り方

いつもお世話になっております。
財産権(憲法29条1項・2項)侵害の論じ方についての質問です。
財産権侵害が問題となった場合の違憲審査において、一般的に目的手段審査で用いられる基準(例えば、実質的関連性の基準等)を採用することはできないのでしょうか。
総まくりテキスト記載の証券取引法事件判決の枠組みのほうが判例の立場に合致しているとは思うのですが、あてはめ段階での論述が難しく、本番で対応できるか不安があります。
お忙しい中恐縮ですが、ご回答頂けますと幸いです。

財産権侵害については、「人権の性質と制約の態様を考慮して違憲審査基準の厳格度を決定する⇒違憲審査基準の適用による目的手段審査」という枠組みで論じるべきではありません。

平成29年予備試験の出題趣旨では、財産権侵害のうち具体的財産権の侵害が問題となる事案について、「本件条例が、憲法第29条第1項で保障される財産権を侵害する違憲なものであるかを論じる…際、本件条例の趣旨・目的と、それを達成するための手段の双方について、森林法違憲判決(最高裁昭和62年4月22日大法廷判決、民集41巻3号408頁)及び証券取引法判決(最高裁平成14年2月13日大法廷判決 民集56巻2号331頁)などを参照しながら 検討する必要がある 。」とあるため、司法試験委員会としては「人権の性質と制約の態様を考慮して違憲審査基準の厳格度を決定する」ということは想定していないと思われます。

なので、総まくりテキストの通り、証券取引法事件判決の枠組みに従って論じることになります。なお、証券取引法事件判決の枠組みでは、目的と手段の双方を問題にするので、当てはめのは、通常の目的手段審査そこまで大きく変わらないと思います。

2021年02月26日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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