加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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日常家事代理における顕名の要否

日常家事債務の代理権に関する質問です。(令和2年司法試験)
日常家事家事債務の代理権の有無の判断において顕名について論ずるのは誤りでしょうか?
令和2年司法試験民法設問3で、委任状偽造等の事実について、「委任状偽造等の事実→顕名があったとは言えないのでは?→問題ない」という流れで答案を書いたのですが、これは誤りでしょうか。
ご回答頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

確かに、法定代理権者による代理行為の場合であっても、有権代理の要件として、顕名が必要とされます。そして、判例は、民法761条について、日常家事に関する法律行為についての夫婦相互の法定代理権を定めたものであると解しています(最判S44.12.18・百Ⅲ9)。そうすると、日常家事に関する法律行為についての夫婦の連帯責任が生じるための要件として、有権代理の要件である顕名が必要とされるとも思えます。

しかし、民法761条は、夫婦が自己又は配偶者のいずれの名義で法律行為をしたかどうかにかかわらず、日常家事に関する法律行為について夫婦の連帯責任が生じることを定めた規定です(前田ほか「リーガルクエスト民法Ⅵ」第5版73頁)から、顕名は要求されません。したがって、日常家事代理においては、顕名は不要となります。

2021年02月20日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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