加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

要件裁量と効果裁量における着眼点の違い

いつもお世話になっております。
秒速講座受講生です。
平成29年司法試験行政法設問1(2)の効果裁量の論じ方について質問があります。
効果裁量では、①Xらが受ける本件被侵害利益と②本件フェンスの設置によりもたらされ得る本件道路上での園児と原動機付自転車との接触事故の発生防止という反対利益との比較衡量という形で論じても大丈夫でしょうか?
効果裁量のあてはめで意識するポイントをご教授して頂けますと幸いです。

今回の道路法に限ったことではありませんが、個別法で不利益処分が法定されている場合、個別法の保護法益を侵害すること又は侵害するおそれがあることが処分要件として定められています。したがって、保護法益の侵害は、処分要件該当性で考慮されるものです。

不利益処分には反対利益の侵害(被処分者やその関係者等の不利益)を伴います。反対利益への配慮は、基本的には効果裁量の段階で問題とします。効果裁量を認める実益は、反対利益に配慮して処分を制限する余地を残すことにあります。

以上を前提にすると、平成29年司法試験行政法設問1(2)における、道路法43条2号違反を処分要件の一つとする同法71条1号に基づく除去命令では、①Xらが受ける本件被侵害利益は処分要件の段階で問題とされていますから、効果裁量の段階では前面には出てきません。効果裁量では、②本件フェンスの設置によりもたらされ得る本件道路上での園児と原動機付自転車との接触事故の発生防止という反対利益を問題とします。反対利益の有無・程度、本件フェンスの設置以外の方法でも反対利益を確保することができるかといった点を正面から論じることになります。①と②の比較衡量は、少なくとも付随的な検討事項にとどまると思われます。

2021年01月13日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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