加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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平等権侵害における目的手段審査の在り方

こんにちは。
秒速・総まくり「講座」の平等権について質問があります。
審査の厳格度は事柄の性質によって変わり得るとのことですが、これを目的・手段審査に当てはめた場合は、事柄の性質によって通常の違憲審査基準を定立して、目的については、区別の目的の重要性ないし正当性などを審査して、手段の審査については、手段適合性について実質的関連性ないし合理的関連性などで審査し、補充的に、区別の程度をも審査するという手法でよかったのでしょうか?
宜しくお願い致します。

非嫡出子法定相続分規定を例に挙げて説明させて頂きます。事柄の性質(総まくりで挙げている①~④)を考慮した上で違憲審査基準を定立します。

例えば、実質的関連性の基準を定立したとしましょう。

㋐目的審査では、「法律婚の尊重」という区別の目的の重要性を検討します。

手段審査のうち、㋑手段適合性では、嫡出子・非嫡出子間に法定相続分の格差を設けること自体が「法律婚の尊重」という目的を達成する手段として役に立つのかを検討します。

手段審査のうち、㋒手段必要性では、主として、(ⅰ)嫡出子・非嫡出子間に法定相続分の格差を設けることと同程度以上に「法律婚の尊重」という目的を達成することができるより制限的でない他の選び得る手段の存否を検討します。仮に上記意味でのより制限的でない他の選び得る手段が存在しないという判断になった場合には、補充的に、(ⅱ)「法律婚の尊重」という目的を達成するために嫡出子・非嫡出子間に法定相続分の格差を設けることが必要であったとしても、1/2もの格差を設けることまでは不要なのではないか(相続分格差をもっと小さくしても目的を達成することができるのではないか)について審査する余地があります。

もっとも、上記(ⅱ)まで審査するべきかは、事案によって異なります。例えば、非嫡出子法定相続分規定であれば、手段審査の本質は「嫡出子・非嫡出子間に法定相続分の格差を設けること自体」にありますから、「格差の程度」についてまで審査する必要はないと思います。

2020年11月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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