加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

予備校答練・模試は、司法試験論文過去問と比べてだいぶ劣るのか

司法試験論文過去問と予備校答練・模試とでは、やはりだいぶズレがあるのでしょうか。

司法試験過去問と予備校答練・模試とでは、「担っている役割」と「質」が異なります。

まずは、司法試験過去問の演習・分析・復習を通じて、「読解・思考のコツ、科目・分野・論点単位での書き方」といった超上位答案の背後にあることを確立します。演習・分析・復習を繰り返すことで、「読解・思考・書き方」等について、少なくとも、解いたことのある司法試験過去問ではそれなりの水準で実践できるようになる必要があります。この「読解・思考・書き方」については、予備校答練・模試でいちから学ぶことはできません。司法試験論文過去問を使っていちから学ぶべきものです。

次に、予備校答練を通じて、①司法試験過去問を通じて身につけた「読解・思考・書き方」等を初見問題の演習等により確認・研磨するとともに、②インプット完成度も確認し、③必要に応じて知識の補充も行います。予備校答練の目的のうち①は、司法試験過去問をやったことを前提とするものですから、司法試験過去問から先にやる必要があります。

それから、司法試験過去問と予備校答練とでは、担っている役割だけでなく、出題の角度や採点方法等について「質的な違い」があります。司法試験過去問を通じて司法試験で求められている「読解・思考・書き方」等を身につける前に予備校答練を受講すると、予備校独特の出題の角度と採点方法に引きずられ、司法試験で求められているものからかけ離れた悪い「読解・思考・書き方」が身についてしまう危険があります。予備校独特の出題・採点に引きずられて悪い癖が身についてしまうことを避けるためにも、司法試験過去問から先にやりましょう。

考査委員が作問している司法試験過去問と、受験生・合格者が作問している予備校答練・模試とでは、どうしても「質」に違いが生じてしまいます。もっとも、予備校答練・模試は、上記①・②・③を主目的とするものであり、「読解・思考・書き方」をいちから学ぶためのものではありませんから、そこまで高い水準の問題でなくても構わないと考えております。

司法試験過去問⇒予備校答練・模試という正しい流れに従い、かつ、予備校独特の出題・採点に引きずられないように気を付ければ、予備校答練・模試を有効利用することができます。両者が担っている「役割」は異なるものであり、予備校答練・模試の担っている役割(上記①②③)からすれば、司法試験論文過去問に比べて水準が劣っていても、あまり問題はないと思います。

2020年10月01日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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