加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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65条1項・2項は、共同正犯の成否の検討過程のどこで論じるべきか

65条1項・2項は、共同正犯の成否の検討過程のどこで論じるべきでしょうか。

身分は客観的構成要件要素ですから(大塚裕史ほか「基本刑法Ⅰ」92頁)、身分の連帯的作用・個別的作用を定めた65条1項・2項は、少なくとも構成要件該当性の段階で論じることになります。

例えば、「他人の物」を「占有する」甲と非占有者乙とが、単純横領罪について共謀し(乙は甲の身分について認識あり)、当該「他人の物」に対する「横領」を実行したという事案であれば、初めに、甲について単純横領罪が成立すること(後述の通り、乙との共同正犯となること)を認定します。次に、乙に単純横領罪の共同正犯が成立するかを検討し、その際、①単純横領罪についての共謀の成立、②①の共謀に基づく「横領」の実行、③65条1項・2項の関係(判例)、④65条1項の「共犯」には共同正犯も含まれること(判例)、⑤65条1項の適用により甲の占有者という真正身分が甲乙間で連帯することにより、乙には単純横領罪の共同正犯が成立する、という流れで書くことになります。

2020年09月10日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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