加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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過度の広汎性ゆえに無効の法理

憲法の明確性の原則について質問です。
明確性の原則のうち、漠然性ゆえに無効の法理の判断基準については徳島市公安条例事件判決の基準を用いることになると思うのですが、過度の広汎性ゆえに無効の法理についてはどのような判断基準を用いれば良いのでしょうか。
過度の広汎性ゆえに無効の法理については、「表現の自由を規制する法令の規定が違憲的に適用される事例を含む場合にその規定を文面上無効とするもの」と説明されると思いますが、違憲的に適用される事例を含むか否かを規範として用いれば良いでしょうか?

確かに、「憲法Ⅰ 基本権」初版(著:渡辺ほか)236頁には、「表現の自由を規制する法令が違憲的に適用される事例を含む場合には、その規定を文面上無効とするものである」という記述があります。
しかし、「違憲的に適用される事例を含む」か自体が基準になるわけではないと思います。仮に「違憲的に適用される事例を含む」だけで文面上違憲になるのであれば、文面審査の段階で目的手段審査等により違憲的適用部分の洗い出しをすることになり、実質的観点に属する目的手段審査等の結果により形式的観点に属する過度の広汎性ゆえに無効の法理に関する結論が導かれるという、おかしな事態になるからです。
おそらく、萎縮効果除去の要請が働くくらい、ある程度広範囲にわたって「違憲的に適用される事例を含む」といえる場合に初めて、過度の広汎性ゆえに無効と判断されることになるのだと思います。

2020年09月06日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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