加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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不任意自白の証拠能力について自白法則と違法収集証拠排除法則の双方から論じるべきか

加藤先生
おはようございます。
いつもブログ拝見しております。
大変貴重な情報提供いつもありがとうございます。
刑事訴訟法「自白法則」について質問失礼致します。
不任意になされた自白は刑事訴訟法319条1項により証拠能力が否定されるという明文があります。
試験で自白の証拠能力について問われた場合に、自白法則のみで証拠能力を否定してもいいのでしょうか、それとも不任意自白であることを認定した後に、違法収集証拠排除法則を用いて排除の可否を検討する必要があるのでしょうか。
お手隙の際にご教授いただけますと大変ありがたいです。
よろしくお願い致します。

虚偽排除説を前提にして説明しますと、不任意自白の証拠能力については、原則として自白法則として論じるだけで足ります。

例えば、約束自白の場合には、自白獲得手続に違法を認めることは困難ですから、その意味においても違法収集証拠排除法則にまで言及する必要はありません。

ただし、①令和2年司法試験設問2のように、設問において自白法則と違法収集証拠排除法則の双方に言及することが求められている場合には、双方に言及する必要があります。

また、②平成27年司法試験設問2のように、不任意自白の派生的証拠の証拠能力が問われている場合には、不任意自白の派生的証拠に関して採用する見解によっては、自白法則だけでなく、違法収集証拠排除法則にも言及します。

例えば、約束自白(不任意自白)→派生的証拠(証拠物)という事案において派生的証拠の証拠能力について解答することが求められている場合には、(1)まず初めに、派生的証拠の証拠能力を論じる前提として、自白法則により約束自白の任意性ないし証拠能力の有無を検討し、(2)次に、不任意自白の派生的証拠の証拠能力について論じます。ここで、派生的証拠には自白法則の根拠が妥当しないとして、自白法則による処理を否定する見解を採用する場合には、その旨を論じた上で、違法収集証拠排除法則(のうち毒樹の果実論、違法性承継論)を論じることになります。他方で、派生的証拠にも自白法則の根拠が妥当するとして、自白法則による処理を肯定する見解を採用する場合には、違法収集証拠排除法則まで論じる必要はありません。

それから、③自白獲得手続に明確な違法がある場合(暴行により自白を獲得した場合など)には、違法収集証拠排除法則にも言及させるために敢えてそのような問題文にしている可能性がありますから、自白法則だけで証拠能力を否定できる場合でも、違法収集証拠排除法則にも言及したほうが無難であると考えます。

2023年04月20日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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