加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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刑事系論文で時間的間隔を指摘する方法

当てはめについて質問させていただきます。
例えば刑訴法で、時間について記述するとき、理想は午後2時55分から午後3時25分までの30分間とするべきだと思うのですが、前段を飛ばしてただ30分と摘示するのみでも問題ないでしょうか。

当てはめでは、問題文の事実を答案に摘示し、それに対する評価を書くことになります。このように、当てはめは、問題文の事実の「摘示」とそれに対する「評価」から構成されています。したがって、事実を摘示するだけでは足りませんし、事実の摘示を飛ばしていきなり評価から書くこともできません。特に、司法試験の刑事系では、設問で「具体的事実を摘示しつつ論じなさい。」というように、事実の摘示について明確な指示があることが多いです。

答案に問題文中の事実を摘示する方法には、①問題文中の事実をほぼそのまま引用する方法と、②(大幅に)意味が変わらない範囲で要約して摘示する方法とがあります。

特に司法試験では、問題文が長いので、問題文中の事実の長さ、重要度などを踏まえて、①と②を適切に使い分ける必要があります。

例えば、午後2時55分に犯罪が発生し、午後3時間25分に警察官が被疑者甲を現行犯逮捕したという事案では、「犯罪発生から現行犯逮捕までの時間的間隔は30分である」と書くことは、②の方法により事実を摘示したことになります。

さらに、「犯罪発生から現行犯逮捕までの時間的間隔は、わずか30分である」と書くことは、②の方法により事実を摘示するとともに「わずか」という評価も書いていることになります。

したがって、「犯罪発生から現行犯逮捕までの時間的間隔は30分である」と書いたとしても、答案に問題文中の事実を摘示したと評価されることになります。

ただし、次の2点に留意する必要があります。

まず、(1)理想的な書き方は①ですから、例えば、現行犯逮捕や準現行犯逮捕の事案において時間的接着性の肯否が論点になっているというように、時間的間隔が本質的に重要である場合には、なるべく①の方法に従い、「犯罪が発生した午後2時55分から、現行犯逮捕がなされた午後3時25分までの時間的間隔は、わずか30分にすぎない」というように、時間の始点と終点を明示するのが望ましいです。

また、(2)「30分」、「60分」というように時間的間隔を摘示しただけでは、問題文中のどの時点とどの時点の間における時間的間隔を意味しているのかが採点者にとって不明瞭である場合には、②ではなく①の方法に従い、時間の始点と終点を明示するべきです。

上記(2)は、問題文中の事実を要約して摘示する場合全般に言えることであり、問題文中の事実を要約して答案に反映する際には、問題文中の事実の意味が(大幅に)変わらないことに加ええて、採点者からみて問題文中のどの事実を指しているのかが明確であるという2点を守る必要があります。

2023年03月22日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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