加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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既判力の消極的作用を論じる段階

既判力の分野に関する質問です。
論じる順番は客観的範囲(訴訟物)→作用→主観的範囲→既判力の消極的作用だとだと思うのですが、基準時を論じる場所に不安があります。
私は、最後の消極的作用の場面で論じているのですが、論じる場所はここでよいのでしょうか。
具体的に、
では、本主張は、既判力の作用により排斥されないか。  
前訴当事者は、後訴で前訴既判力の基準時よりも前に存在していた事由をもって前訴既判力の生じた判断を争うことはできないことをいうところ、既判力はどの時点における権利・法律関係の存否について生じるのか、既判力の基準時が問題となる。
と書いています。

既判力による後訴における主張の遮断については、①前訴確定判決の既判力により基準時における○○という権利の存在(又は不存在)が確定されている、②①を踏まえて既判力が後訴に作用するか、③作用するとして後訴における主張は①の既判力が生じている判断内容に矛盾抵触するものとして遮断されるか、という流れで論じます。

①では、基準時がどの時点なのかを明らかにする必要はありません。

②でも、作用を判断する際にはどの時点の権利関係なのかということは見ないので、基準時がどの時点なのかを明らかにする必要はありません(例えば、前訴確定判決により基準時である令和4年10月1日におけるXの甲土地所有権の存在が確定されている一方で、後訴では令和4年12月1日におけるXの甲土地所有権の存在が請求原因として問題になっているという場合でも、先決関係を理由として既判力が作用します)。

既判力の基準時がどの時点なのかを明らかにする必要があるのは、③の段階です。

したがって、質問者様の論じ方が正しいです。

参考にして頂けたらと思います。

2022年10月14日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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