「公訴事実の同一性」(刑訴法312条1項)は、単一性と同一性の双方を満たすことを必要とする概念ではありません。
新訴因が旧訴因と犯罪として両立し得るものとして主張されている場合には【単一性】により判断し、両立し得ないものとして主張されている場合には【狭義の同一性』により判断します。
例えば、検察官が被告人を住居侵入罪で起訴した後に、侵入先の住居内で窃盗も行っていたとして窃盗罪でも起訴するために訴因に窃盗を追加する場合(これは、狭義の「追加」ですが、広義では「変更」です)には、【単一性】が問題となり、両者は牽連犯(刑法54条1項前段)として実体法上科刑上一罪となりますから、単一性、ひいては訴因の追加が認められることになります。
これに対し、検察官が被告人を犯行日時を令和5年10月30日とするVに対する殺人罪で起訴した後に、犯行日時を令和5年10月29日に変更するために訴因を変更しようとする場合(これは、狭義の「変更」です)には、【狭義の同一性】が問題となります。
まずかここから理解しましょう。
これが分かると、同一性判断にける非両立性の基準の使い方もイメージできるようになります。
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