加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

明確性の原則の論じ方

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明確性の原則が適用される場面は、(1)罰則による表現規制、(2)罰則以外による表現規制、(3)罰則による表現以外の規制に分類されます。(3)は、憲法の権利に対する規制と、憲法上の権利以外に対する規制とに分類され、後者については、憲法31条だけが適用されるため、保障→制約という論述を経ることなく、いきなり明確性の原則を論じることになります。

これに対し、表現規制に属する(1)(2)では、明確性の原則は、①保障→②制約→③正当化という枠組みにおける形式的正当化に属するものですから、①当該規制の対象が「表現の自由」として保障されることと、②当該規制が「表現の自由」に対する制約に当たることを認定した上で、論じることになります。

①②を確定しないと、当該規制が表現規制であるかが定まらないため、当該規制について表現規制における明確性の原則は働きません。

知る自由の事案についてでありますが、平成30年司法試験の出題趣旨でも、①保障→②制約を論じた上で③明確性の原則を論じるという枠組みが採用されています。

出典:平成30年司法試験の出題趣旨 https://www.moj.go.jp/content/001273705.pdf

なお、明確性の原則を論じた後に実質的正当化(例えば、違憲審査基準の定立→目的手段審査)を論じる際には、形式的正当化における①②の論述を前提にして構いません。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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