刑事訴訟法の答案で、強制処分該当性を検討する際に、問題提起で強制処分法定主義と令状主義のどちらを出すべきかが悩ましいと思います。
「本件捜査が「強制の処分」に当たるなら令状主義に服するから、無令状で行われた本件捜査は令状主義違反として違法である」、「本件捜査が「強制の処分」に当たるなら「検証」に該当するから、検証令状なしで行われた本件捜査は令状主義違反として違法である」といった問題提起を目にすることがあります。
前者は、理論的に間違っています。「強制の処分」に該当する行為の全てが当然に令状主義に服するわけではないからです。現行刑訴法で法定されている強制処分の全てが令状主義の対象とされているにすぎず、例えば、おとり捜査については、仮に「強制の処分」に該当しても現行刑訴法で法定されている強制処分のどの類型にも該当しないため、令状主義の適用を受けません。
後者は、理論的に間違っているわけではありませんが、論理が飛躍しています。ある捜査が「強制の処分」に該当した場合に第一次的に服することになる規律は、令状主義ではなく強制処分法定主義だからです。
強制処分法定主義は、刑事手続上当該処分を用いることが一般的に許されるかに関する規律です。これに対し、令状主義は、強制処分法定主義をクリアする強制処分を行う権限の個別具体的事案における発動を規律するものです。
しかも、令状主義の規律が及ぶのは法定された既存の強制処分の類型に該当するものだけです。
この意味で、強制処分が第一次的に服する規律は強制処分法定主義であり、令状主義は強制処分のうち法定された既存の強制処分の類型に該当するものとの関係に限り第二次的に顕在化する規律にとどまります。
そうすると、①「「本件捜査が「強制の処分」に当たるのであれば、刑事訴訟法上の「特別の定」が必要である(同法197条1項但書)」という、強制処分法定主義との関係での問題提起が先行することになります。
その上で、②本件捜査の「強制の処分」該当性を検討し、③「強制の処分」該当性が認められる場合には、本件捜査が刑訴法で法定された強制処分の類型に該当するかを検討します。本件捜査が刑訴法で法定された強制処分の類型に該当するのであれば、「強制の処分」に該当する本件捜査について刑訴法上の「特別の定」があるといえるため、強制処分法定主義には違反しません。
最後に、④本件捜査が該当する「強制の処分」の類型には令状主義が適用されることを指摘し、その類型に応じた令状がないのであれば本件捜査は令状主義違反として違法である、と結論づけることになります。
講義のご紹介
令和6年司法試験 有料講座の合格者数356名
加藤ゼミナールでは、令和6年司法試験において、有料講座の受講者様から356名の合格者を輩出することができました!
令和4年司法試験 110名
令和5年司法試験 212名
令和6年司法試験 356名 2年で3.2倍増!
毎年、順調に有料講座の合格者数を伸ばすことが出来ています。
加藤ゼミナールの講師・スタッフ一同、より多くの方々の合格をサポートすることができるよう、邁進してまいります。
受験生応援キャンペーン 全講座10%オフ
受験生応援キャンペーンとして、2024年度版の司法試験・予備試験対策講座を対象とした10%OFFセールを実施しております。
全ての受験生様にご利用頂けるセールでございます。
令和6年司法試験合格祝賀会 11/19@パレスホテル東京
令和6年司法試験に合格された皆様、誠におめでとうございます。
講師・社員一同、皆様の合格を大変嬉しく思っております。
加藤ゼミナールでは、講座の受講者様を対象とした合格祝賀会を開催いたします。
加藤ゼミナールへの合格体験記の提出、他校への合格体験記の提出禁止、他校での講師活動の禁止といった参加条件はございません。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
司法試験・予備試験対策なら加藤ゼミナール!
加藤ゼミナールは、2021年に開校し、有料講座の合格者数を110名(2022年)→212名(2023年)→356名(2024年)と順調に伸ばすことができており、今最も急成長を遂げている予備校です。
1位~1桁合格者や10位台~2桁合格者を多数輩出しており、上位合格を目指すための” もう一歩先の勉強 “をすることができる点も、加藤ゼミナールの大きな特徴であるといえます。
入門講座から、論文講座、選択科目講座、実務基礎講座まで、幅広い講座を取り扱っています。
予備試験講座説明会
毎週、予備試験講座説明会をオンライン開催しております。
加藤ゼミナール代表の加藤講師が「予備試験講座の概要」に加えて、「予備試験の勉強法」や「攻略法の最新動向」についてまで説明いたします
参加特典(特別クーポン)もございますので、是非ご参加ください!
加藤ゼミナールのテキストのこだわり
加藤ゼミナールでは、受験生スタッフや合格者スタッフがテキストを作成するのではなく、全てのテキストを代表である加藤喬講師をはじめとする所属講師がいちから作成しています。
基本7科目の論文対策講座・労働法講座・法律実務基礎科目講座のテキストは全て、代表である加藤喬講師だけで作成しており、だからこそ、テキストは試験傾向にもしっかりと対応している、テキストどうしの一貫性が確保されているなど、クオリティが非常に高いです。
もっと見る
法律コラムに関するご質問は、質問コーナーではなく、当該コラムのコメント欄に投稿して頂きますようお願いいたします。
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。