加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

論証を修正する意味

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受験生の中には、予備校の論証集を自分なりに修正する方もいますし、それを第三者に提供する方もいるようです(著作権等の権利侵害については、今回の割愛します。)。

修正の方法には、大別して、①論証の構造、文章表現を自分に合ったものに修正する、②見解や理由付けを修正する、③実際に答案に書く長さにコンパクトに修正するという3つが考えられます。

特に①と③は、人ごとに善し悪しが異なるため、他人が修正した論証が自分に合うとは限りませんし、②についても、論点相互の関係などを踏む論証集全体における整合性に注意する必要があります(特に刑事系)。

また、③についてですが、たまに予備校論証が長いと批判している人がいますが、理解のために必要な記述もあるため、実際に答案に書く論証よりも長くなるのは当然のことです。論証をコンパクトに修正している人(修正できる人)は、論証の構造や本質部分を理解しているから、適切に取捨選択をして、論証をコンパクトに修正することができるのです。

そうした状態にある人は、少なくとも総復習の段階では、実際に答案に書く長さにコンパクトに修正された論証を読むだけでもインプットを完成させることができます。

もっとも、自力で論証をコントロールに修正することができない人は、論証の構造や本質部分を理解していないのですから、他人がコンパクトに修正した論証を見ているだけでは、理解の伴わない使い勝手の悪い表面的な論証知識が身に付くだけになってしまいます。コンパクトに修正された論証ではなく、論証をコンパクトに修正できるようになることが重要なわけです。

また、これは①~③に共通することですが、論証を修正する過程で論証の理解と記憶が促進されます。私自身もそうであり、自力で論証を作ったり、自作した論証をコンパクトに修正するなどの過程で、自然と論証の理解が深まるとともに、記憶も定着していました。この意味において、論証の理解・記憶にとって、自力で論証を修正するプロセスが重要であるといえます。

他人が修正した論証でも使いこなせるという人もいるのでしょうが、論証の理解・記憶が苦手な人ほど、他人に頼るのではなく、自力で論証を自分用に修正するというプロセスを重視したほうがいいと思います。

最適な勉強方法は、人ごとに異なります。

しっかりと自分と向き合って、自分にとって最適な勉強法を選択しましょう。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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