論文試験で判例の規範を修正することの可否について質問を頂いたので、私の考えを紹介いたします。
私は、①判例の規範がそのままの形で妥当する事案(個別の事案のみならず、事案類型も含みます。以下同じ。)であれば、判例の規範をそのままの形で使うべきあるが、②判例の規範がそのままの形で妥当しない事案であれば、事案に合わせる形で(=当該事案の当てはめをし易い形に)判例の規範を修正するべきであると考えています。
判例の規範は絶対的なものではなく、事案に応じて変容し得るものです。判例の規範の中には、当該事案を前提としたものが少なからずあるため、判例が想定していない事案との関係では判例の規範をそのままの形で使うことができないこともあるからです。
かなり稀ではありますが、②に属する出題もあります。特に憲法では、判例の規範において想定されている事案が他科目のそれに比べて狭いため、他科目に比べて判例の規範を当該事案に合わせて修正する機会が多くなります。
また、仮に①に属する出題であったとしても、正しい理由付け(条文の趣旨、原理原則など)から修正した規範を導き、事案と規範に適合した当てはめをすることができているのであれば、判例の規範を修正してしまっても、ぎりぎり合格水準に到達すると思います。
例えば、令和3年予備試験設問1における「2つ以上の契約の一方の債務不履行を理由とする契約全部の解除の可否」という論点における本質は、㋐債務不履行により契約を維持する意味を失った債権者を契約の拘束力から解放するという債務不履行解除の制度趣旨を前提として、㋑「2つ以上の契約の一方だけに債務不履行がある場合に、債権者が他方の契約も含めて契約を維持する意味を失ったといえるのためには、どういった条件を満たす必要があるか」という点にありますから、判例の規範をそのままの形で使っていなくても、規範と当てはめに㋑が反映されているのであれば、合格水準に到達すると思います。
とはいえ、②に属する出題は稀ですから、普段の答案練習では、安易に判例の規範を修正するのではなく、なるべく、①に属する出題であることを前提として、判例の規範を前提として事案に適合した当てはめをする訓練をするのがいいと思います。
講義のご紹介
2025年度版 司法試験・予備試験講座 10%offセール実施中!
受験生応援キャンペーンとして、2025年度版の司法試験・予備試験対策講座を対象とした10%OFFセールを実施しております。
10%OFFセールは、7月20日(日)から8月31日(日)までとなります。
全ての受験生様にご利用いただけるセールでございます。
✅全動画配信中
✅全教材一括配送
✅最新の試験傾向に対応
✅講師作成の完全オリジナルテキスト
学習のデジタル化に全面対応
7月10日にリリースした『短答条文・判例ライブラリー』は、大変多くの方々にご利用いただけています!
7月末には、『論文式のCBTシステム』と『オフライン再生アプリ』をリリース予定です。
加藤ゼミナールは、最新で最良の受講環境を提供することができるよう、今後も様々な開発を進めてまいります。
加藤ゼミナールでは、法曹を目指す方を対象として無料受講相談を実施しています。
・学歴や年齢は関係あるのか?
・どのプランが一番良いのか?
・他の予備校との違いは何か?
なんでもご相談ください!
経験豊富なスタッフがあなたの疑問や不安を解消いたします。
加藤ゼミナールのテキストのこだわり
加藤ゼミナールでは、受験生スタッフや合格者スタッフがテキストを作成するのではなく、全てのテキストを代表である加藤喬講師をはじめとする所属講師がいちから作成しています。
基本7科目の論文対策講座・労働法講座・法律実務基礎科目講座のテキストは全て、代表である加藤喬講師だけで作成しており、だからこそ、テキストは試験傾向にもしっかりと対応している、テキストどうしの一貫性が確保されているなど、クオリティが非常に高いです。
もっと見る
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。