刑事系論文と短答3科目に向けて

民事系論文、本当にお疲れ様でした。

これで、司法試験の約3分の2を終えたことになります。

残すは、刑事系論文と短答3科目です。

民事系は、選択科目や公法系に比べて解答筋が不明瞭であることが多いので、初日以上に、自分の出来不出来が気になるかもしれません。

しかし、ここで過去を振り返ってはいけません。Twitterや5ちゃんねるに振り回られてもいけません。過去を振り返ることのないよう、自分をしっかりと律する必要があります。

こうしたことが、今、皆さんに問われています。

私から皆さんにお伝えしたいことは、以下の3つです。

 

中日の使い方


中日の使い方は、人によって異なると思います。

これまでの疲れを回復するために勉強量をセーブする、刑事系論文に重点を置いた勉強をする、短答対策に重点を置いた勉強をする、刑事系論文と短答対策の双方を同じくらい勉強する等、様々です。

自分にとってベストな選択をして頂きたいと思うのですが、私から一点だけ。

今年の受験者数(3424人)からすると、短答試験合格後の競争率は2倍を切ると思います。

短答試験を突破すれば、最終合格にだいぶ近づきます。

そのため、短答が苦手である、全国模試でも合格ラインギリギリだったという方は、中日と刑事系論文終了後の半日で、しっかりと短答対策をしたほうが良いと思います。

 

刑事系論文で留意すること


以下は、刑事系論文の試験本番で最低限留意して頂きたいことです。

(1)刑法

    • 設問ごとの出題の形式に注意しましょう。【事案】を読む前に、【設問】を読み、何がどういった形式で問われているのかを把握した上で、【事案】を読んだ方が、【事案】を正確に処理することができると思います。
    • 構成と答案作成のいずれの段階でも、客観的構成要件(主体、客体、行為、結果、因果関係)→主観的構成要件(故意、主観的違法要素)→違法性→有責性→刑罰権の発生(客観的処罰条件、一身処罰阻却事由)→刑の免除・減軽(心神耗弱、中止犯、過剰防衛など)という理論体系を意識しましょう。
    • できるだけ、論点は条文の文言に引き付けて論じましょう。これにより、論点と理論体系との繋がりも明確になります。
    • 三者間形式の問題では、①小問及び自説で項目分けをする構成と、②自説を展開する途中で小問にも言及する構成とを上手く使い分けましょう。基本的に、小問における対立が罪名の違いをもたらす場合には①の構成を、小問における対立が同一罪名内におけるものにとどまる場合には②の構成を選択することになります。詳しくは、こちらの「刑法の三者間形式の問題における答案構成」という記事をご覧ください。
    • 多角的検討をさせる問題のうち、同じ結論に向けた複数の理論構成を検討させる問題(令和1年設問3、令和2年設問2)では、原則として理論体系の網羅性を重視しましょう。例えば、令和1年設問3に出題された「防衛行為の結果が第三者に及んだ場合において、行為者の刑事責任を否定するための理論構成」については、方法の錯誤(主観的構成要件)・正当防衛(違法性阻却)・緊急避難(違法性阻却)の3つに言及して誤想防衛(責任故意阻却)に言及しないよりも、緊急避難を飛ばして方法の錯誤・正当防衛・誤想防衛の3つに言及した方がいいです。

(2)刑事訴訟法

    • 当てはめでは、事実の摘示・評価を区別しましょう。その上で、個々の事実ごとの評価だけでなく、個々の事実の集積により導かれる事実群に対する評価まで書くことができれば理想的です。
    • 当てはめでは、重要事実に対する評価をイメージし、稚拙な表現や分かりにくい表現になっても構いませんから、そのイメージを具体的に文章化して答案に反映しましょう。
    • 限界事例における当てはめでは、結論はどちらでも構いません。採点では、結論自体ではなく、結論を導く過程が重視されますから、「確かに、… しかし、…」といった構成により、「確かに、…」のところで自分の結論を導く上で不利な事実の摘示・評価をした上で、「しかし、…」のところで自分の結論を導く上で有利な事実の摘示・評価に入ります。
    • 結論の妥当性は重視しなくてもいいです。刑事訴訟法の論文試験で最も重視されていることは、捜査機関側から見た結論の妥当性ではなく、規範自体の正確性と規範適用の正確性・説得力です。したがって、違法よりの捜査を強引に適法にするために、規範自体を歪めたり、規範適用を歪めたりするべきではありません。
    • 捜査の必要性を論じる場合、当該捜査の具体的な目的から出発して、その目的を達成する手段として当該捜査が必要であるか(役に立つか、より穏当な方法によって捜査目的を達成することの可否)について具体的に論じましょう。
    • 刑事訴訟法では、推認過程を説明する場面が多いです。これが最も重視されているのが伝聞非伝聞の区別においてですが、それ以外でも重視されています。おかしな推認過程になってしまっても構いませんし、稚拙な表現や分かりにくい表現になっても構いませんから、推認過程をイメージし、それを文章として具体的に答案に反映することにより、自分がイメージした推認過程を採点者に伝えましょう。

 

刑事系論文が終わった後の時間の使い方


直前期における短答試験対策の肝は、時間の使い方です。

短答試験直前に、短時間で、一過性の高い枝・葉の知識をどれだけ多く詰め込めるのかが肝です。

なので、刑事系論文が終わった後に、どのタイミング、どの順序で、どの科目をどう復習するのかにより、短答対策の効果がだいぶ変わってきます。

刑事系論文終了後の時間を有効に利用し、短答対策の効果を最大化するために、どういった時間の使い方をするのかについて、今から考えておいたほうが良いです。

ちなみに、私が合格した平成26年にはまだ短答試験の科目数が7科目だったのですが、中日と刑事系論文終了後に、7科目全部回しました。憲法は伊藤塾シケタイ・判例百選・憲法判例、行政法は六法のマーク箇所、民法は伊藤塾情報シートのマーク箇所、商法は六法のマーク箇所、民事訴訟法は六法のマーク箇所、刑法は基礎マスターテキストと六法のマーク箇所、刑事訴訟法は六法のマーク箇所、これらを少なくとも1周しました。

ここまで自分を追い込む必要はないと思いますが、短答対策の効果を最大化するための時間の使い方については、是非考えて頂きたいと思います。

最後になりますが、今日の民事系論文、本当にお疲れまでした。

明日の中日の時間について、自分にとってベストな使い方をすることで、合格をより一層確実なものにして頂きたいと思います。

皆様を応援しております。

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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