司法試験の短答対策で留意すること

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令和3年司法試験まで約3週間です。

短い期間で、論文対策と並行しながらどのように短答対策をすればいいのかについて悩んでいる方もいらっしゃると思います。

司法試験の短答試験では、6割(105点/175点)取れば合格できます。

憲法及び刑法では、論文知識、論文的思考及び思考・読解のコツだけで解ける問題が6~7割あり、短答固有の細かい知識を使って解く問題は3~4割くらいです。なので、憲法及び刑法の短答対策としては、過去問を通じて思考・読解のコツを掴むことと、網羅性の高いテキスト(総まくりを受講している方なら総まくりテキスト)でA・Bランクの分野について条文、判例及び論点を確認することが重要であり、細かい知識を確認するための勉強はおまけみたいものです。

短答過去問を何度も繰り返しているにもかかわらず憲法及び刑法で安定して35点前後をとることができない人は、短答固有の知識が足りていないのではなく、論文知識、論文的思考及び思考・読解のコツが身についていない可能性が高いです。その状態で短答過去問を繰り返しても、点数はほとんど伸びないと思います。

短答対策としてテキストに目を通す際には、論文対策のように丁寧に読み込む必要はありません。短答で使う知識の大部分は、論文で使う知識と異なり、能動的に使用できる状態にまでもっていく必要はなく、訊かれたら分かるというくらいの受動的に使用できる状態で足りるものだからです。

民法では、憲法及び刑法に比べて、論文知識だけで解答できる選択肢が少ないため、論文知識だけで合格ラインに到達することは難しいです。

もっとも、取引安全を害するから請求を否定するべき、相手方の正当な信頼を害するから契約成立を認めるべきといった裸の利益衡量により、条文や判例の適用結果と一致する結論を導ける問題がいくつもあります。 この裸の利益衡量による解法に加え、消去法も用いると、正答率がだいぶ上がります

例えば、令和2年第22問における「AがBに対し、承諾の期間を申込みから1週間と定めて撤回の権利の留保なく契約の申込みをし、その2日後に申込みを撤回したが、Bは申込みから5日後に承諾した。」という選択アについては、「契約の成立を否定するとAが定めた承諾期間内に承諾をしたBの契約成立に対する正当な信頼が害されるから、契約成立を認めるべきである」という価値判断により、「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。」と規定している民法523条1項を知らなくても、正解を導くことができます。

また、令和2年第37問における「解除の意思表示は、撤回することができない。」という選択肢イについては、「解除の法律効果の大きさからすると、解除の意思表示の撤回は相手方の地位を不安定にするとともに、法律関係を複雑にするから、許されないはずである」という価値判断により、解除の「意思表示は、撤回することができない。」と規定している民法540条2項を知らなくても、正解を導くことができます。

これらは、裸の利益衡量による解法を用いて解くことができる選択肢のほんの一例です。

条文や判例といった法律知識を直接の根拠として結論を導くことが理想的ですが、知らない条文や判例が問われている問題における正答率を高めるためにも、短答対策としてのインプットの負担を軽減するためにも、裸の利益衡量による解法も身に付けて頂きたいと思います。

民法における裸の利益衡量による解法については、こちらの動画の2:40以降でも説明していますので、参考にして頂ければと思います。

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
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・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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