加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

私の司法試験失敗談

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私が大学3年次に司法試験を目指してから8年後に司法試験に超上位合格するまでの過程について、私の失敗談も含めて、お話しいたします。

特に、今年から法科大学院に進学する方々に参考にして頂きたいと思います。

1.伊藤塾入塾から法科大学院合格まで


私は、第3年次の春に、伊藤塾に入塾しました(22期)。

当時は、旧司法試験コース(100万円前後)と法科大学院専願コース(60万円前後)とがあり、私は法科大学院専願コースを選択しました。

法科大学院入試まで1年数カ月しかなかったため、旧司法試験合格を目指さないで、法科大学院入試一本に絞ろうと考えたからです。

私は、文章の読み書きや要約に慣れていなかったため、学習開始から3~4カ月間は、基礎マスターで学んだことをなかなか理解・記憶することができず、苦労しました。

講義で記憶の指示があった箇所をがむしゃらに記憶しようとしたのですが、理解や全体像の把握を怠っていたため、どこかしっくりしませんでした。地に足が着いていない感じがしていました。

大学3年次の夏休み頃から、伊藤塾のオリジナル問題集(新伊藤塾試験対策問題集よりもシンプルな内容のもの)で知識の使い方を確認しながら、基礎マスターテキストの論点をノートにまとめてみたら、論点がすっと頭に入ってくるようになり、「論文書けそうだな、「こうやって使うためにこの論点を勉強してるんだな」という、手応えや理解を得ることができ、ここから一気に学習が進むようになりました。

ところが、勉強が間に合わなかったこともあり、夏に受験した中央大学・明治大学はいずれも一次試験(論文試験)で不合格となり、冬に受験した東北大学も面接試験で不合格となり、浪人が確定することになりました。

私は、それまで、インターハイ(5位)でも大学受験(青学スポ薦入学)でも納得できる結果を出してきたので、浪人が確定した時は、本当に目の前が真っ暗になりました。

勉強という分野で全国レベルの勝負をするのが初めてだったため、自分に司法試験で勝負できるだけの能力があるのか、とても不安になりました。

法科大学院入試で2浪するなら制限回数内(当時は5年3回)に司法試験に合格することも難しいと思い、来年も落ちたら撤退すると覚悟を決めて、直ぐに勉強を再開しました。

私は、英語・適性試験の点数が低かったため、大学4年次には慶應義塾大学を受験しなかったのですが、伊藤塾の友人から短答試験で7割くらい取れば書類審査での足切りはないとの情報を得たため、2回目の法科大学院入試では慶應義塾大学も受験することになりました。

2回目の法科大学院入試では、中央大学と慶應義塾大学の双方に合格し、論文試験に合格していた明治大学の面接は辞退しました。

当時は、旧司法試験組も多い上、法科大学院入試の倍率もだいぶ高かったので、学習2年数カ月で中央大学と慶應義塾大学に合格するのは、けっこう優秀な方だったと思います。

私の短所なのですが、ここで、自分の器を見誤ってしまいました。

 

2.法科大学院入試合格から2回目の司法試験不合格まで


法科大学院入試合格後、その年の司法試験に超上位合格した先輩から、「予備校教材では司法試験に対応できない」といった助言を受け、その助言を表面的に受け取り、全科目のまとめノートを基本書をベースにして作り直すという果てしない作業に着手しました。

先輩の助言の真偽と真意を自分で真剣に考えることなく、偏見に基づく意思決定をしたことが、本当に愚かだったと後悔しています。

1科目につき複数の基本書を参照しながら全科目分のまとめノートをいちから作成するという作業は、いつまで経っても終わりません。

結局、法科大学院大学中もずっとまとめノート作りをしていたため、論文・短答ともに司法試験過去問をやることなく1回目の司法試験を受験することになりました。

1回目の成績は以下の通りです。

論文350点 2600位/受験者8765人

公法66点 民事156点 刑事76点 労働 51点

短答221点 4652位/受験者8765人

司法試験過去問をやっていないため、科目特性が強い公法系・刑事系で全然点数が伸びませんでした。

その後、司法試験論文の過去問をやることなく、公法系と刑事系の点数が伸びない原因が分からないまま、2回目の司法試験に突入したところ、1回目よりも悪い成績で不合格となりました。

論文346点 2900位/受験者8387人

公法74点 民事 120点 刑事103点 労働48点

短答270点 912位/受験者8387人

2回目の受験の成績が1回目の成績を下回った原因は、1回目の受験から10月過ぎまで全くを勉強をしていなかったために実力と感覚がだいぶ衰退していたことと、全科目で途中答案になったことにあります。

当時は、5年3回制度だったため、さすがにまずいと思い、勉強法から見直すことにしました。

その際、先に司法試験に合格(1回目合格)していた姉からの「タカシ、過去問だよ」とのアドバイスと、姉の入所先の所長弁護士さんからの「勉強していることは伝わるけど、知識以外の武器を身にないと上にいる1000~1500人を抜くのは難しい」とのアドバイスに従い、司法試験過去問の演習・分析を通じて司法試験全体と科目ごとに重視されていることや求められている書き方・考え方を身につけるとともに、途中答案対策を徹底しました。

そして、本試験までのラスト4カ間、「今まで500番を目指して2000番にも入れなかったのに、どうして500番を目指したままで合格できるのか。今ビビっているでしょ。やるんだったら10番目指せ。」(「私の司法試験合格体験談」35:50以降)という当時の彼女の発言により心に火が付き、限界ぎりぎりまで勉強をすることにより、受験3回目で司法試験に超上位合格するに至りました。

総合1050点 39位/受験者8015人

論文523点 36位/受験者8015人

公法系133(100位) 民事系186点(200位) 刑事127点(160位) 労働76.6点(1位)

短答270点 612位/受験者8015人

 

3.8年間の受験生活のまとめ


1回目の法科大学院入試の不合格の原因は、勉強が間に合わなかったことにあります。

学習開始1年半で当時の中央大学と慶應義塾大学にダブル合格した人も僅かながらいますが、受験経験の浅い私は、自分に合った勉強のやり方を模索することからやる必要があったため、1年半では間に合いませんでした。

なので、法科大学院入試については、反省点や後悔はありません。

これに対し、司法試験の1回目・2回目の不合格の原因は、過信と勉強法を誤ったことにあります。

法科大学院合格後も、伊藤塾ベースのまとめノートを継続利用し、速やかに司法試験過去問に着手して現状と司法試験との距離を埋めるための司法試験対策としての勉強法を意識しながら、まとめノートに加筆・修正をしたり、司法試験過去問を使ったアウトプットを繰り返すべきでした。

どんな試験でも、傾向があるため、傾向に合った勉強をする必要があります。

特に、司法試験では、全科目に共通する傾向と科目ごとの傾向が強いため、司法試験過去問の演習・分析により試験傾向を把握した上でインプット(ノート作りを含む)とアウトプットをする必要が非常に高いです。

私の成績の伸び方は極端かもしれませんが、正しい方向性で司法試験過去問を分析・復習することができれば、本試験で評価される書き方とそのための勉強法が明確になるため、答案の書き方も頭の使い方も日ごろの勉強の仕方も変わります。

今年から法科大学院に進学する方々には、私の同じ経験をしないためにも、出来るだけ早い段階で司法試験過去問の演習・分析に着手して頂きたと思います。

関連する記事として、「司法試験過去問をやるべき時期(来年から法科大学院に進学される方々へ)」という記事も参考にして頂けると思います。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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