論文試験では、科目によっては、知識・思考力と同じくらい、文章力が重要になってきます。
簡潔にまとめる力があれば、配点項目を拾いやすくなります。
表現力があれば、例えば刑事訴訟法における事実評価や推認過程の説明の説得力が増します。理解が正確であることと理解したことを答案に反映することとは別次元ですから、文章力が不十分だと、理解していることを答案に十分に反映することができないわけです。
丸暗記した論証を張り付けることができない現場思考要素の強い問題でも、その場でイメージした抽象論を答案に反映する上で、文章力は非常に重要です。
もっとも、美しい文章を書く必要まではありません。正解筋を把握している玄人である採点官が一読して理解できるのであれば、稚拙な文章でも構いません。
①採点官が一読して理解できる、②簡潔に又は凝縮して書く、③言語化が難しい過程も飛ばさずに文章で表現するという3点が重要であると考えます。
③につき、補足いたします。
例えば、刑事系の当てはめの配点項目は、事実の摘示・評価に大別されます。
事実ごとの評価・事実群としての評価をイメージすることができても、それを文章化する表現力がないと、事実摘示⇒事実評価⇒結論のうち、事実評価が抜ける又は不十分となり、事実評価の配点(の一部)を落とします。
伝聞・非伝聞の区別では、採点上、要証事実を導く際に推認過程(証拠から争点たる主要事実の立証に至るまでの推論の過程)を説明することが重視されています。表現力が乏しいと、イメージした推認過程の説明が飛躍したり、不明瞭・不正確になることがあります。
また、現場思考要素の強い問題では、丸暗記した論証を張り付けることができず、その場でひねり出した抽象論を答案に書くことになるため、文章力が乏しいと、現場思考要素の強い問題でも苦労することになります。
このように、表現力が乏しいと、配点項目の一部である事実評価、推認過程及び抽象論をイメージすることができても、その答案化が不十分になるため、配点項目をイメージできているのに点数に繋がらないという事態に陥る可能性があります。
要するに、配点項目に該当する事項を答案に記述して初めて点が与えられるため、表現力が乏しいために上記事項が脳内にとどまっている又は答案の記述から推察されるにとどまっているだけでは、点が与えられない、ということです。
答案練習後の自己添削では、解答筋(検討事項の網羅性を含む)、論証の正確性、科目・分野・論点ごとの書き方の作法等に加え、上述した意味での文章力についても確認してみましょう。
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