訴因変更の要件である「公訴事実の同一性」について基本的事実関係の同一性と理解する立場からは、基本的事実関係の同一性の下位基準的なものとして、単一性と狭義の同一性が挙げられます。
古い教材等を使っている方の中には、基本的事実関係の同一性につき「単一性あり、かつ、狭義の同一性あり」と理解している方もいるかもしれません。
しかし、少なくとも現時点では、そのようには理解されておりません。
単一性と狭義の同一性は、事案類型に応じて使い分けられるものです。
基本的事実関係の同一性は、公訴事実の横の広がりが問題となっている場合には単一性により判断され、公訴事実の縦の変化が問題となっている場合には狭義の同一性により判断されることになります。
だからこそ、公訴事実の横の広がりが問題となっている事案で一事不再理効の客観的範囲として「公訴事実の同一性」が問題となった最二小判例昭和43・3・29及び最三小判平成15・10・7・百97では、単一性だけが問題とされているわけです。
公訴事実の縦の変化が問題となっている事案で訴因変更の可否が問われた令和1年司法試験設問2の出題趣旨では、「公訴事実の同一性の意義については、従来から、「単一性」と「狭義の同一性」に分けられているが、本件で問題になるのは「狭義の同一性」である。」とされています。
基本的事実関係の同一性の判断基準として単一性と狭義の同一性が発動する場面について分からない方には、下記の基本書で確認して頂くことをお薦めいたします。
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- 川出敏裕「判例講座 刑事訴訟法〔公訴提起・公判・裁判篇〕」初版104頁以下
- 宇藤崇ほか「リーガルクエスト 刑事訴訟法」第3版241頁以下
- 廣瀬健二「刑事公判法演習」初版35頁以下
秒速・総まくり2021又は秒速・過去問攻略講座2021を受講して下さっている方は、テキストの該当箇所をご確認頂ければと思います(総まくりテキスト114頁以下、過去問攻略講座・総論38頁以下)。
訴因変更の可否は、令和1年司法試験設問2で正面から出題されたため、令和3年司法試験で出題される可能性は低いですが、令和3年司法試験で一事不再理効の客観的範囲として「公訴事実の同一性」が出題される可能性はそれなりにありますから、正しい理解を身につけておきましょう。
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