加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

Grokで「令和7年司法試験論文式の出題予想」をきいてみました。

試験的にGrokで「令和7年司法試験論文式の出題予想」を訊いてみました。

【Grokの回答】

憲 法

過去数年で表現の自由や平等権がよく出題されており、令和7年では「消極的表現の自由」(例えば、特定の行為を強制されない権利)に焦点を当てた問題が考えられます。具体的には、デジタル時代におけるプライバシー権(SNSでの個人情報拡散や監視技術の利用)と国家の規制権限のバランスが問われるかもしれません。最近の社会的な議論を反映し、AIやデータ保護に関する憲法上の権利が絡む事例が出る可能性もあります。
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行政法
行政手続や行政処分の適法性が頻出しています。令和7年では、行政のデジタル化(オンライン申請や電子決裁)に伴う手続的瑕疵や、環境保護を目的とした行政規制(例えば、CO2排出規制)の妥当性がテーマになる可能性があります。また、複数の利害関係者が登場する事例で、処分性や原告適格を丁寧に検討させる問題が出題されそうです。
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民 法
2020年施行の民法改正後の論点が続いています。令和7年では、債権法から「保証債務の範囲」や「契約解除に伴う原状回復義務」、相続法から「遺留分侵害額請求の実務的計算」が候補に挙がります。さらに、デジタル取引(電子契約や暗号資産の売買)に絡む錯誤や詐欺の効果を問う問題が、現代的な視点として出題されるかもしれません。
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商 法
会社法が中心で、特にコーポレートガバナンスや株主権がよく出ています。令和7年では、株主総会の決議取消訴訟や、監査役の責任を問うケースが出題されそうです。また、社会的関心の高まりから、ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識した企業の情報開示義務や、M&Aに伴う取締役の善管注意義務が新しい切り口として登場する可能性もあります。
 
民事訴訟法
弁論主義や既判力の範囲がキーワードとして浮かびます。令和7年では、明示的一部請求の効果や、訴訟物が複数ある場合の審理の進め方が問われるかもしれません。また、近年あまり出ていない「釈明義務」や「訴訟上の和解」の効果を絡めた問題が、受験生の思考力を試す形で出題される可能性があります。
 
刑 法
共犯論や因果関係が頻出傾向にあります。令和7年では、未必の故意の成否を問う事例(例えば、危険運転致死傷罪の成立要件)や、過失犯と結果的加重犯の境界を整理させる問題が予想されます。サイバー犯罪(詐欺やデータ窃盗)の文脈で、行為者の責任をどう評価するかが現代的な論点として出る可能性も高いです。
刑事訴訟法
違法収集証拠排除法則や捜査の適法性がよく扱われます。令和7年では、デジタル証拠(スマートフォンの解析データや通信記録)の取得手続の適法性や、取調べの可視化を巡る問題が出題候補です。また、再勾留の要件や訴因変更に伴う被告人の防御権の保障が、手続的視点から問われる可能性もあります。


出題傾向と対策のポイント

司法試験の論文式試験は、単なる知識の確認を超えて、法的思考力や論理的表現力を重視します。令和7年では、デジタル化(オンライン取引や捜査手法)、環境問題(規制や企業の社会的責任)、プライバシー保護など、現代社会の課題が各科目で反映される可能性が高いです。過去問では出ていない論点や、判例の応用を求める問題も予想されるため、柔軟な対応が求められます。
受験生としては、まず基本的な条文や判例を押さえつつ、事例問題を通じて「問題発見→法的枠組みの適用→結論」の流れを練習することが大切です。特に、令和7年1月1日時点で施行済みの法改正(例えば、民法や刑事手続関連)を確認し、最近のニュースで話題のテーマにも目を向けておくと良いでしょう。

URL https://x.com/i/grok/share/eUvHqrgW1quDCp6Ibl7L1Upbc

 

以下は、Grokの回答に関する私の雑感です。

憲 法

過去に2年連続で憲法21条1項から出題されたこともあるので、表現の自由の出題頻度の高さと消極的表現の自由の出題実績(司H18、予H28)も踏まえると、消極的表現の自由を出題候補として挙げるのはそんなに的外れではないと思います。

「具体的には、…」以降は、そもそも「消極的表現の自由」の話から「積極的表現の自由VSプライバシー権」の話に切り替わってしまっていますが、「SNSにおける積極的表現の自由VSプライバシー権」という問題意識は、いつか出題されると思います。

とはいえ、令和7年の出題分野の本丸は、プライバシー権、平等権、知る権利・知る自由、財産権あたりだと思います。

行政法

ほとんど参考にならないです。

過去の出題実績を踏まえると、出題可能性が高いのは、行政裁量(特に裁量基準に従った裁量権行使)、第三者の原告適格、理由の提示(特に裁量基準の適用関係の提示の可否)、違法行為の転換、違法事由の主張制限(行訴法10条1項)、差止訴訟、直接型義務付け訴訟、申請型義務付け訴訟、国家賠償法2条あたりです。

民 法

2020年4月1日施行の債権法・相続法改正からの出題が続いているのは、その通りですが、「令和7年では…」という具体的な出題分野の予想は的はずだと思います。「保証債務の範囲」や「契約解除に伴う原状回復義務」は債権法改正の影響があまり受けないですし、「遺留分侵害額請求の実務的計算」を出すなら論文ではなく短答です(論文で出しても受験生の実力を適正に図ることはできないと思います)。また、93条~96条は令和4年(94条2項類推)と令和6年(動機の錯誤)に出題されていますから、令和7年に出題される可能性は低いです。

なお、2年1回ペースで親族・相続から出題されていることを踏まえると、改正の有無にかかわらず、親族・相続における重要な条文・論点はおさえておくべきです。論点が正面から出題されることもあれば、令和5年(配偶者短期居住権)のように条文操作が正面から問われる可能性もあります。

商 法

株主総会決議取消しの訴えは超頻出分野ですから、令和5年→令和6年→令和7年と3年連続で出題される可能性も十分あります。仮に出題された場合には、必ず831条1項3号の取消事由(過去に8回出題)を確認するようにしましょう。頻出事項ですが、意外と落としやすいです。

 「企業の情報開示義務」としては、会計帳簿の閲覧等の請求が再度出題される可能性が考えらます(過去に司H30、予H25で出題あり)

組織再編としては、合併、会社分割、株式交換、株式交付のどれが出題されてもおかしくありません。平成21年司法試験のように「組織再編の効力発生前と後における争い方」が出題される可能性もありますし、未出題の「詐害的会社分割における残存債権者の救済手段」や「株式交付の手続・論点」が出題される可能性もあります。

なお、「組織再編に伴う取締役の善管注意義務」としては、特に、消滅会社や株式交換完全子会社の取締役の善管注意義務違反について、対価の不当性により損害を被るのは会社ではなく株主であることを踏まえて検討させる出題が考えられます。同じ問題意識は平成21年司法試験でも出題されており、近年も、類似の問題意識として、「一人株主である代表取締役が会社に損害を与える行為をした場合における任務懈怠の成否」が令和5年司法試験で出題されています。

民事訴訟法

あまり参考にならないです。

過去の出題傾向を踏まえると、弁論主義を通じて要件事実論を問う出題に備えておく必要があります。

また、重複起訴禁止のうち「相殺の抗弁」や「一部請求」が絡む論点にも要注意です。

さらに、令和3年以降、令和4年における訴えの主観的追加的併合を除き、共同訴訟に関する出題がないことから、共同訴訟から出願される可能性は高いです。

それから、たまにマイナー分野・論点から出題されることもある(R5:違法収集証拠、R1:管轄、H30:文書提出命令における220条4号ハ前段・193条1項3号)ので、送達・再審の組み合わせ問題(参考判例あり)も危ないです。

最後に、2020年4月1日施行の債権法改正を踏まえて債権者代位訴訟・詐害行為取消訴訟における債務者・他の債権者の訴訟参加は、いつ出題されてもおかしくないです。

刑 法

「共犯論や因果関係が頻出傾向にあります。」というのはその通りですが、当たり前すぎることですし抽象度が高いので、出題予想としてはあまり参考になりません。

「令和7年では…」以降は、参考になりません。

刑法は、同じ犯罪・論点が繰り返し出題される傾向にあります。過去に出題された総論の論点では、間接正犯(特に被利用者が途中で事情を知った事例)、不真正不作為犯、因果関係、中止犯、共謀共同正犯、承継的共同正犯、共同正犯関係からの離脱あたりが危ないです。各論の犯罪では、過去問で頻出の犯罪に加えて、

未出題の「公務執行妨害罪」と「賄賂罪」に要注意です。

刑事訴訟法

これもほとんど参考になりません。

刑事訴訟法は、過去問からの出題頻度が最も高い科目ですから、とにかく過去問で出題された論点をマスターしましょう。特に、現行犯逮捕・準現行犯逮捕、任意同行後の取調べ、逮捕に伴う捜索・差押え、訴因変更の可否、伝聞法則からの出題可能性が高いと考えます。伝聞法則では、そろそろ弾劾証拠(H29)が再度出題されるかもしれません。

過去問で出題された論点をカバーしたら、過去問以外からの出題にも備えるために、公訴時効、訴因の特定、常習犯事案における一事不再理効の客観的範囲あたりもおさえておきましょう。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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