今月反抗された法学セミナー2024.12では「刑法研究者が作った論証パターン」という特集が組まれており、受験生・合格者の多くが関心を寄せているようです。

私も購入し、『刑法研究者が作った論証パターン』にざっと目を通しましたが、あまり参考にならないと思いました。
例えば、不真正不作為犯の作為義務(6頁 2(6))では、罪刑法定主義との関係に一切言及されていないですし、作為義務の前提として作為の可能性だけを挙げ作為の容易性を挙げていません(H30司法試験の出題趣旨でも「作為の可能性・容易性」とある。)。
不作為犯の因果関係(6頁 3)では、どれが条件関係に関する枠組みで、どれが法的因果関係に関する枠組みであるのかが判別できません(そもそも「条件関係」というキーワードすらない。)。
因果関係(7頁~11頁)では、様々な見解からの論証が掲載されており、試験対策としてどの論証を採用するべきかが分からないですし、大元の論証である【論パ1】では、法的因果関係が必要とされる趣旨を書いているだけで危険の現実化を採用する理由になっていないです。学説対立が正面から問われる場合でない限り、危険の現実化説の理由付けは不要ですが、【論パ1】の理解では相当因果関係説と危険の現実化の対立が正面から問われた場合に危険の現実化を採用するべき理由を説明できないと思います。
キリがないのでこれで終わりにしますが、「○○研究者が…」といった権威みたいなものに引きずられ過ぎないでください。
論文対策で一番厄介なのが、著名な基本書1冊では論証が完成しないということです。1冊で完成するなら予備校はいらないです。学者ごとに見解や微妙な表現が異なる憲法、刑法、刑訴なら尚更です。著名な基本書や過去の出題趣旨・採点実感など様々な文献・資料を参照しながら、できる限り司法試験委員会の理解に沿った論証を作る必要があり、ここが一番大変なのです。
なお、今回法学セミナーで「論証パターン」を掲載してくだった刑法研究者の先生方を批判しているのではありません。先生方には、研究者という立場でありながら、論証パターンという予備校発祥の論述例に踏み込んでくだった姿勢には頭が上がりません。
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