加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

『判例は神、学説はゴミ』

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『判例は神、学説はゴミ』

これは、安念潤司先生の古い名言です。

どういった文脈、趣旨で述べられたものであるかは分かりませんが、少なくとも、試験対策としては、この考えは本当に捨てたほうがいいです。

勉強の方向性を間違える危険すらあります。

判例が学説を追認することもあれば、学説が判例に権威付けしたり、判例を具体化することで補うことだってあるので、そもそも判例と学説を二項対立的に捉えるべきではありません。

また、判例と異なる学説を採用するべき場合もありますし、判例の立場が曖昧であるために学説を採用するべき場合だってあります。

さらに、判例至上主義的な発想だと、「判例の真意は何か」と過度な判例探求をしてしまいがちであり、その結果、判例でも学説でもない独自の解釈を採用してしまう危険もあります。このように、日頃の論点学習に悪影響が生じることも懸念されるわけです。

理論面についてはあまり難しく考えず、著名な書籍で判例又は通説として紹介されている理解を採用すれば足ります。

そもそも、司法試験でも予備試験でも、論証の正確性はさほど重視されていないので、論文試験で採用するべき見解の探究に多くの時間を割くことはナンセンスです。そんなことよりも、科目分野ごとの答案の書き方や処理手順、問題分析の仕方、条文・論点といった検討事項の網羅性、当てはめの充実さなどのほうが遥かに重要です。

判例を採用するべき論点でも、判例そのものではなく、判例っぽい見解でも構いません。それくらい、判例の本当の立場を探求することが難しい場合もあります。

判例偏重というか、論証偏重の姿勢だと、ロースクール在学中の私の二の舞になる(いつまでも過去問に着手できませんでした)ので、気を付けましょう。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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