令和4年改正民事訴訟法の施行日、出題の有無・範囲

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令和4年改正民事訴訟法の施行日、令和5年司法試験・予備試験における出題の有無・範囲について、説明させて頂きます。

今回の改正は実務的には非常に重要ですが、司法試験・予備試験との関係では重要度はだいぶ低く、短答試験で出題される可能性があるにとどまります。論文試験で正面から訊いてくることはまずないと思います。

司法試験では、①原則として、司法試験が実施される日に施行されている法令に基づいて出題されることになっており、②司法試験六法に搭載される法令は、原則として、令和5年1月1日現在において、既に公布され、かつ、試験日以前に施行されることが確定しているものです。

令和4年改正民事訴訟法の全面施行は令和7年中であり、令和5年の司法試験(及び予備試験)の試験日以前に施行されることが確定している改正法は一部にとどまりますから、施行が令和7年中とされているオンライン送達などは、令和5年司法試験の出題範囲外であり、かつ、令和5年司法試験六法にも搭載されていません。

具体的には、以下の①ないし④は、令和5年司法試験六法に反映されています。

①当事者に対する住所・氏名等の秘匿を新設する133条ないし同条の4(令和5年2月20日施行)

②上記①の新設に伴う訴え提起の方式に関する条文番号の変更(133条→134条)、証書真否確認の訴えの条文番号の変更(134条→134条の2)(いずれも令和5年2月20日施行)

③ウェブ会議や電話会議による弁論準備手続の要件を緩和する新170条3項(令和5年3月1日施行)

④ウェブ会議や電話会議による和解期日を明文化する新89条2項・3項(令和5年3月1日施行)

他方で、以下の⑤ないし⑩は、施行日が令和7年度中であるため、令和5年司法試験六法に反映されていません。

⑤訴状等の提出・送達のオンライン化に関する新132条の11ないし13、新109条ないし同条4(いずれも令和7年度中施行)

⑥テレビ会議システムを利用した証人尋問等の要件を緩和する新204条・新(規則)123条(証人尋問)、新210条(当事者尋問)、新215条の3(鑑定人質問)、新232条の2(検証)(いずれも令和7年度中施行)

⑦訴訟記録の電子化及びその閲覧のオンライン化に関する新94条、新132条の12第1項、同条13第1項、新160条、新252条、267条、91条、91条の2等(いずれも令和7年度中施行)

⑧電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに関する新231条の2、同条の3(いずれも令和7年度中施行)

⑨法定審理期間訴訟手続に関する新381条の2ないし8(令和7年度中施行)

⑩和解条項案の書面による受諾の要件を緩和する新264条(令和7年度中施行)

以下は、法務省のウェブサイトにおける「民事訴訟法等の一部を改正する法律について」で掲載されている令和4年改正民事訴訟法の概要及び令和4年改正民事訴訟法の施行日に関するPDFデータ、並びに「令和5年司法試験に関するQ&A」の該当箇所です。

なお、加藤ゼミナールの予備試験合格パック2022・2023、司法試験合格パック2022(2023は販売なし)、予備試験・司法試験入門講座2022・2023、法科大学院合格パック2023、総まくり講座2023の各講座で使用している基礎応用完成テキスト「民事訴訟法」では、第18章において、令和4年改正民事訴訟法について、旧規定と比較する形で、施行日も明記しながら網羅的に取り上げていますので、ご安心下さいませ。

 

【令和4年改正民事訴訟法の概要】

原典:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00316.html

 

【令和4年改正民事訴訟法の施行日】

原典:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00316.html

 

令和5年司法試験に関するQ&Aの該当箇所】

Q24 出題に係る法令には基準はありますか?
A  
原則として、司法試験が実施される日に施行されている法令に基づいて出題することとされています。

Q25 試験の近い時期に法令の改正があった場合、出題は、どの時点の法令に基づいてなされるのですか?
A  法令の改正があった場合も、原則として、試験日に施行されている法令に基づいて出題されます。

Q30 令和5年司法試験用法文の登載法令は、どのようになりますか?
A  令和5年司法試験用法文の登載法令については、確定後速やかに、法務省ホームページに掲載して公表します。
なお、司法試験用法文に参照条文は付されません。

Q31 改正法令等については、登載の基準はありますか?
A  原則として、令和5年1月1日現在において、既に公布され、かつ、試験日以前に施行されることが確定している法令が登載の対象となりますが、Q30のとおり登載法令について確定した結果は、法務省ホームページで公表します。

Q32 令和5年1月2日以降に公布された法令や試験日以前に施行されることが確定していない法令については、司法試験用法文に登載されないのであれば、出題に係る法令には該当しないのですか?
A  出題に係る法令については、原則として、Q24のとおり「司法試験が実施される日に施行されている法令に基づく」こととなりますので、司法試験用法文に登載する法令と取扱いが異なる場合があります。しかしながら、出題に係る法令について例外的取扱いを行うことを公表している場合には、法文も同様の取扱いとします。

原典:https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/shiken_shinshihou_shikenqa.html

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
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・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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