司法試験で予備試験過去問が流用される可能性もあるため、司法試験対策として予備試験過去問をやることは有益であると考えます。
一方で、司法試験対策における予備試験過去問の重要性は科目や年度ごとにだいぶ異なりますから、満遍なく予備試験過去問をやることはお薦めできません。
以下では、司法試験過去問の穴をカバーする必要性と、予備試験過去問が流用される可能性とを主たる基準として、令和5年以降の司法試験対策における令和4年予備試験過去問のランク付けをさせて頂きます。
憲法 B
争議権は司法試験で出題されていないため、最低限の対策はしておくべきです。その意味で、Cランクではありません。他方で、司法試験では、ここまであからさまに特定の判例を正面から問う出題がなされることは非常に稀であるため、Aランクとはいえません。
行政法 B
全体的にマイナーな分野からの出題であるため、Aランクとはいえません。もっとも、取消訴訟の出訴期間、無効確認訴訟の本案勝訴要件(重大かつ明白な瑕疵)の2点については、司法試験でも出題される可能性があるため、Cランクとまではいえません。
民法 B
設問1における品質に関する契約不適合を理由とする代金減額請求権と損害賠償請求権はAランクの超重要分野ですが、令和2年の司法試験で出題されているため、令和4年予備試験過去問を使って対策をする必要性は低いです。設問2における「新たな権原」(185条)は、司法試験で出題されていませんが、出題可能性が特に高いわけではありません。以上から、Bランクどまりであると考えます。
商法 A
商法では、司法試験で予備試験過去問の類題が出題されることが少なくないです。令和4年予備試験は、出題された分野・論点からしても、司法試験で流用される可能性が高いです。したがって、Aランクであると考えます。
民事訴訟法 C
民事訴訟法では、予備試験で司法試験過去問が流用される頻度が高く、反対に、司法試験で予備試験過去問が流用されることはほぼありません。令和4年予備試験の出題は、平成28年司法試験過去問の流用ですから、令和5年以降の司法試験で流用される可能性は低いですし、同種の問題については平成28年司法試験過去問で勉強をすれば足ります。
刑法 A
設問1・2のいずれについても、同種の問題が司法試験過去問で出題される可能性が高いので、Aランクであると考えます。
刑事訴訟法 C
設問1・2で出題されている「場所」に対する捜索差押許可状に基づいて捜索場所に居合わせた者の携帯品を捜索することの可否と、その際の「必要な処分」の限界の2点は、いずれもAランクの超重要論点です。もっとも、刑事訴訟法では、予備試験で司法試験過去問が流用される頻度が高く、反対に、司法試験で予備試験過去問が流用されることはかなり稀です(今のところ、司法試験における予備試験過去問の流用は、令和4年設問3における検察官の釈明内容と異なる事実認定の可否くらいです。)。そして、「場所」に対する捜索差押許可状に基づいて捜索場所に居合わせた者の携帯品を捜索することの可否と、その際の「必要な処分」の限界の2点はいずれも、平成29年司法試験で出題されていますから、これらの論点について令和4年予備試験過去問を使って重ねて勉強をする実益は乏しいです。したがって、Cランクであると考えます。
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