加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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裁判上の自白の撤回制限効の根拠論は、問いに応じて使い分けるべきか

いつもお世話になっております。
裁判上の自白の効果について質問がございます。
新司法試験平成23年民事訴訟法設問1において、裁判上の自白における撤回制限効の根拠論を権利自白に援用できるか考えさせる問題が出題されました。
裁判上の自白の撤回制限効の根拠論について、『読解民事訴訟法』(勅使川原和彦)をはじめとして、「不要証効→裁判所拘束力」型と「裁判所拘束力→不要証効」型の2通りの説明がありうると解説されています。
もっとも、試験対策上両者をどのように使い分ければよいのか、上記設問1において両者の見解で違いが生じるのかが、いまいち理解できておりません。
加藤先生は両者の見解をどのように使い分けていらっしゃいますでしょうか。
ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

裁判上の自白の撤回禁止効の根拠論については、①「証明不要効→審判排除効→撤回禁止効」という理解(平成23年司法試験の出題趣旨・採点実感、勅使川原「読解民事訴訟法」50頁以下)と、②「審判排除効→撤回禁止効→証明不要効」という理解(勅使川原「読解民事訴訟法」48頁)があります。

権利自白の撤回禁止効をはじめとして、自白の撤回禁止効又は審判排除効が問われている場合には、①の理解で書いた方がいいです。実際、権利自白の撤回禁止効が出題された平成23年司法試験設問1でも、①の理解を前提として、撤回禁止効の根拠である証明不要効及び審判排除効が権利自白にも妥当するかという観点から、権利自白の撤回禁止効を肯定することを論じることが求められています。

これに対し、平成21年司法試験設問1のように「裁判所は、証拠調べをすることなく、〇〇の事実を判決の基礎とすることができるか」として、裁判上の自白の証明不要効が問われている場合には、②の理解に立たざるを得ません。

①の理解は、自白事実全般に証明不要効が生じるが、自白事実のうち審判排除効及び撤回禁止効が生じるのは主要事実に限られるとする見解です。これに対し、②の理解では、審判排除効及び撤回禁止効に関する主要事実限定説を前提にすると、自白事実のうち主要事実についてのみ証明不要効が生じることになります。

証明不要効が問われている問題で①の理解に立ってしまうと、審判排除効及び撤回禁止効に関する主要事実限定説を採用するかどうかにかかわらず、自白事実全般に証明不要効が生じることになるため、裁判上の自白による証明不要効の有無を検討する過程で主要事実限定説に関する論点が顕在化しないことになり、論点潰しになります。

このように、問われていることに応じて根拠論を使い分けるべきであると考えます。

2021年04月08日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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