加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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総まくり論証集「刑事訴訟法」52頁[判例1]に関する誤植

総まくり論証集「刑事訴訟法」52頁[判例1]では、「よって、原判決(第1審判決)には、不告不理原則違反による絶対的控訴理由(378条3号)が認められる。」とあります。
しかし、被告人への不意打ちとなることを理由として訴因変更が必要との結論に至っているので、相対的控訴理由(379条)が認められるという結論になるのではないでしょうか?

①審判対象の画定に必要な事項について、訴因変更が必要であるにもかかわらず訴因変更をしないで訴因と異なる認定をした場合には、裁判所が検察官の訴因設定構成権限を害して審判対象を逸脱した事実認定をしたことになるため、絶対的控訴理由(378条3号)となります(酒巻匡「刑事訴訟法」初版292頁、緑大輔「刑事訴訟法入門」第2版256頁)。

②一般的に被告人の防御にとって重要な事項について、訴因変更が必要であるにもかかわらず訴因変更をしないで訴因と異なる認定をした場合には、相対的控訴理由(379条)となります(緑大輔「刑事訴訟法入門」第2版257頁)。

論証集52頁[判例1]では、②について訴因変更が必要であるにもかかわらず訴因変更をしないで訴因と異なる認定をしているため、絶対的控訴理由ではなく相対的控訴理由となります。

お詫びの上、上記の通り訂正させて頂きます。

2021年02月26日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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