加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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生存権の自由権的側面の侵害の有無の論じ方

秒速・総まくり2021を受講している者です。
いつもお世話になっております。
生存権(憲法25条)の書き方について質問させていただきます。
生存権の問題類型のうち「(1)ア.生存権の給付請求権としての側面の侵害」については、判断過程審査による答案が付されてあったので、書き方が分かるのですが、「イ.生存権の自由権的側面の侵害」については、三段階審査が適用されるわけではないとされており、書き方が分かりません。
「論点1 立法による作為的な介入により国民の「最低限度の生活」が脅かされている場合」という論証からすると、「健康で文化的な最低限度」の生活水準を下回っているかにつき、反対利益等を踏まえて、総合考慮するということでしょうか?
別の質問者さんに当該箇所について質問されている方がいましたが、自分の質問とは異なると考え、質問させていただきました。

大変お忙しいかとは思いますが、回答をお待ちしております。

例えば、国が、生活保護世帯が激増したことに伴い、生活保護費拡充を目的として所得税・社会保険料を大幅に増額する法改正をし、この事実関係を前提として、会社員Xが、1月当たりの可処分所得が21万円から16万円まで減り、これでは「健康で文化的な最低限度の生活」を維持することができないとして憲法25条違反を主張したとします。

この場合、憲法25条違反の審査の対象は可処分所得16万円は「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を下回るか否かに集中することになります。

Xは、「健康で文化的な最低限度の生活」の水準について厳格に判断されることを望むため、所得税や社会保険料を増額する必要性が生じる前の「経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等」を前提とした「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を主張します。例えば、1月当たりの実質的な可処分所得は20万円前後必要であると主張します。

これに対し、国側は、「健康で文化的な最低限度の生活」の水準について緩やかに判断されることを望むため、所得税や社会保険料を増額する必要性が生じた時点以降の「経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等」を前提として「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を判断するべきであると主張します。なお、判例は、国側の主張の立場です。

2021年01月23日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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