加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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令和2年予備試験行政法設問2 処分性に関する問題の所在

いつもお世話になっております。加藤先生の総まくり2020を使って勉強し、昨日まで予備試験論文試験を受験してきました。
行政法設問2で処分性が出題されたのですが、予備校の解答では本件通知が事実行為かを論じた後に紛争の実効的な権利救済の観点から処分性を認めるというものでした。しかし、私は、総まくりテキストにも掲載されている「許認可申請行為に先立つ事前の同意」の問題であると捉え、協議をしなければ開発許可を受けられないとの法的効果は名宛人以外にも生じている条例上の一般的な制約であるから原則として通知には処分性は認められないとした上で、許認可対象行為を求める手続き上の地位が保障されているとしてそれに対する法的効果が認められるため処分性ありとしました。この筋では点数はつかないでしょうか。とても不安です。お答えいただけますと幸いです。

予備試験論文、お疲れさまでした。

現在、「憲法」「行政法」「民法」の3科目につき、本ブログで私が総まくりテキストと過去問攻略講座テキストだけを参照して作成した答案を公開しておりますので、参考にして頂ければと思います。

本件通知の処分性に関する争点は、①本件通知には条例上の根拠があるか(公権力性)、②本件通知には法効果又はその直接具体性が認められるか(土地区画整理事業計画決定に関する平成20年大法廷判決の判例理論:法効果の前倒し的読み込みの可否)、③法効果又はその直接具体性がなくても権利救済の必要性により例外的に処分性を認めることができるか(病院開設中止勧告に関する平成17年最高裁判決の判例理論)の3つであると思われます。

②について、「許認可申請行為に先立つ事前の同意」の問題として論じることも、可能であるかもしれません。平成20年司法試験憲法でも出題された通り、自主条例により都市計画法上の開発許可の要件を加重することも可能であり、本件条例4条における「事業者は、開発事業を行おうとするときは、あらかじめ、・・・協議しなければならない」という定め方からすると本件条例では事前協議を都市計画法上の開発許可の加重要件に位置づけているとみる余地もあります。

もっとも、協議条項違反による開発行為の着手(条例4条違反)⇒勧告(条例10条)⇒工事中止命令(条例11条)という仕組みになっていることから、平成20年司法試験設問1、平成30年予備試験設問1のように、工事中止命令という不利益な後続処分が予定されていることを踏まえた検討がメインで問われていると思われます。

したがって、「許認可申請行為に先立つ事前の同意」という筋で書いても一定の評価はされるものの、①の検討、協議条項違反による開発行為の着手(条例4条違反)⇒勧告(条例10条)⇒工事中止命令(条例11条)という仕組みに着目した②の検討、③の検討を飛ばしていると、設問2で点数を伸ばすことは難しいかなと思います。

参考にして頂けますと幸いです。

2020年10月27日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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