加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

伊藤塾コンプリート論文答練を受講する必要性

現在、大学2年生で、伊藤塾に通い在学中の予備試験合格を目指しています。
論文マスターを受講中で、10月からコンプリート論文答練が始まるのですが、答練まで受講する必要はないのではないかと疑問に感じています。
100万以上の大金を親に払ってもらっており、10万以上する答練を申し込むのは経済的負担が大きいという点と、過去問がある程度蓄積されている予備試験において過去問を潰しておく方が優先的なのではないか(潰している過程で予備試験を迎えるのではないか)という点が、悩んでいる理由です。一方で、問題研究の網羅性が十分ではないため、そこを補う意味で答練の役割があるという意見もあります。
これについて、加藤先生のお考えをお聞かせ願いたいです。

※過去の質疑応答を本ブログに反映したものであるため、質問の時期と内容にずれが生じています(運営者・加藤喬)

学習1~2年目くらい(例えば、伊藤塾基礎マスター論文マスターの受講中又は受講終了直後)と、それ以降とでは、予備校答練の役割が異なると考えています。

前者の場合、自分の答案を客観的に評価してもらう機会という意味が強いです。これに対し、後者では、答案を自己評価できる状態で受講することが想定されていますから、自分の答案を客観的に評価してもらうという役割は弱くなります。

論点の網羅性については、問題研究をベースにして、論ナビなどの他の伊藤塾教材を回す過程で論点を補充することで足ります。すべての論点について問題演習を通じて勉強する必要まではないと思います。論ナビなどを回している過程で、問題研究で扱われていない論点のうち、どういった事案でどういった流れで論じるのかについてイメージが湧かないものが出てきた場合には、試験対策問題集等を辞書的に参照して、事案の論点の対応関係や論じ方を確認し、問題研究や論ナビ等にメモするという方法で、問題研究の網羅性の乏しさをカバーすればいいと思います。そのため、「問題研究の網羅性が十分ではないため、そこを補う意味で答練の役割がある」という理由でコンプリート論文答練を受講する必要性は低いと考えます。

もっとも、答案を自己評価できる状態にないのであれば、「自分の答案を客観的に評価してもらう機会」という意味で、コンプリート論文答練を受講する必要性が高いと考えます。コンプリート論文答練は、採点が難しい司法試験答練と異なり、採点の正確性(信憑性)が高いですから、自分と合格の距離を測る上で有益であると思います。さらに、成績上位者を目指すなどすれば、モチベーションの維持・向上にも役立つと思います。ついでに、問題研究で扱われていない論点については、問題研究や論ナビ等にメモすることにより、問題研究の網羅性の乏しさを補っておきましょう。

それから、予備試験過去問との関係についてですが、確かに、問題分析の対象・反復の対象としては、予備試験過去問>コンプリート論文答練、となります。しかし、答案を自己評価できる状態にない場合、予備試験過去問の演習・復習を通じて何を学べばいいのかが分からない状態で予備試験過去問の演習・復習をすることになるため、予備試験過去問の演習・復習の効果がなかなか上がらないと思います。予備試験過去問で出題範囲を網羅することができるわけでもありませんから、予備試験過去問を全てやるためにコンプリート論文答練の受講をしないという選択よりも、予備試験過去問4~5年分とコンプリート論文答練の双方をやるという選択の方が効果的です。

100万円以上の伊藤塾入門講座に加えて、10万円以上の答練費用は大きな負担ではありますが、上記の答練の意味を踏まえた上で受講して頂ければ、きっと費用の何倍もの効果を得ることができると思います。

上記を参考にして、コンプリート論文答練を有効利用して頂ければと思います。

2020年10月11日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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